社長・役員
スピーチ
2002年デトロイトモーターショー:プレスブリーフィング
[チャーリー・ヒューズ執行役員]
皆様おはようございます。
Mazda6の世界デビューとなるマツダのプレスカンファレンスへお越し頂きありがとうございます。
今週はとても忙しい一週間でしたが、今年もニュースが盛りだくさんな年になります。特に私のようなクルマ好きにとってワクワクするような新商品を次々にご紹介できるのはこのうえなく嬉しいことです。
実際、先週行なわれたLAオートショーでは、新型MPVをお披露目いたしました。3.0リッターエンジンを搭載、200馬力、5速AT、17インチホイール、多彩なアレンジが可能なシート等すばらしい内容のクルマとなっていますので後程ご覧になって下さい。走りの楽しさをめいっぱい体感して頂けるという意味で我々はこのクルマを「スポーツカー魂を備えたミニバン」とうたっております。
この機会を利用して2名ほど私の同僚を紹介させていただきます。まず、これまで最高執務責任者を務めてくれていた、スティーブン・オデールです。彼は、2月よりマツダモーターヨーロッパの社長に昇格する予定です。そして、こちらが先日マツダノースアメリカンオペレーションズの副社長として新しく就任しましたジョン・メンデルです。
さて、ではこれからマーク・フィールズ率いる広島の本社の同僚に、私達のエキサイティングな商品について紹介してもらいます。
[マーク・フィールズ代表取締役社長兼CEO]
先程チャーリーから案内がありましたように、今年度はマツダにとって転機となる大変重要な年です。この数日間色々な数字をお聞きになってきたと思いますので、今回数字の話しは省かせて頂きます。重要なのは、昨年マツダが発表したミレニアム計画は軌道にのっているということです。私達はすでに利益を生み出す体質を作り、3月期決算では黒字を計上する見通しです。
しかしビジネス戦略やビジネスの再構築だけが理由ではありません。収益を生み出す体質になったのは、すばらしい商品を生み出してきた情熱を持った社員達のお陰です。本日は、私の言っている社員の情熱をここで皆様体感して頂きたいと思います。
実は、広島から3名のチーフデザイナーとエンジニアを今回のショーに連れていきています。今日はマツダの再建を支えてきた彼らの才能・情熱をじっくりと感じてください。我々は、一味違ったユニークさをもち、運転する楽しさを備え、所有者として誇りを持てるクルマ造りを目指しています。
我々はあらゆる面で常に新しい挑戦を繰り広げてきました。
世界トップレベルのI4アルミエンジン、そして、次世代のロータリーエンジンの開発。
外観からは想像できないようなコンパクトなサイズのキャビンに、広々とした革新的なパッケージ。
そして、皆様を心の底から驚かすようなシャシー作りです。
マツダは車の運転好きな人々の集団です。私自身あのすばらしいRX-7を運転しています。そして我々は、今後ももっと素晴らしい車を提供していきます。
今日は、そのうちの2台をここに展示しています。
現在、私達は莫大な費用を商品開発に投資しています。具体的に申し上げますと、今後5年間で過去5年間の30%増にあたる商品開発費を投資する予定です。これは過去に例を見ないほど多額の投資額です。
世界でトップクラスを誇るフレキシブルな生産方法も使用していますが、そのお話しはまた別の機会にさせていただきます。実際にご自身の目で見て頂くのが一番と思いますので、機会がありましたら是非広島にお越しください。
さて、我々は販売、マーケティング活動共に世界的に強化していきます。ヨーロッパでは2001年度の目標を遥かに上回り、ディストリビュターの80%をコントロールできるようになりました。
そして最も重要なことは、自分達が何者で、どこの市場ニーズに応えていくべきか、をきちんと理解しているということです。1998年、我々は自身を厳しい目で見直し、今後の方向性を検討しなおし、その結果マツダらしをとり戻しました。スタイルがあり、スポーティで、ファン・トゥ・ドライブを感じさせるバリューの高い車を提供する、マツダのブランドDNAです。幣社のアメリカのチームは、これを「Zoom-Zoom」、または「エモーション・オブ・モーション」と呼んでいます。
この「Zoom-Zoom」はマツダを表現するのに最適な言葉です。ヨーロッパやオーストラリアでの展開した後、この言葉をグローバルに使用することにしました。「Zoom-Zoom」はまさにマツダそのものなのです。
マツダのすべての商品にMX-5 Miataで感じる「Fun to Drive」の要素を盛り込んでいるとも言えます。我々は、運転する楽しみ、所有する喜びを感じさせる、実用的かつ機能的なクルマ造りを行なっています。例えばリアサスペンション開発の際には、クルマの性能向上だけでなく、空間の有効活用をも考慮しています。もちろんハンドリング性能にも真剣に取り組んでいます。
優れたハンドリング性能も「Zoom-Zoom」の一部であり、ここに展示してあります新型ミッドサイズセダンであるMazda6にもしっかりと体現されています。クラストップの運転性能、デザインとスタイルを備えています。
それでは皆様Mazda6をご覧頂きたいと思いますが、今回のプレスカンファレンスでは通常と違う趣向を凝らしております。というのも今回私と一緒に同席しているMazda6の開発メンバーに、彼ら自身の言葉で、Mazda6の特長と進化したマツダについて語ってもらおうと思います。
まず始めにチーフデザイナーの小泉です。
[小泉巌チーフデザイナー]
Mazda6のデザインの狙いは卓越したダイナミックパフォーマンスと驚くほどのスペースを確保しながらお客様の心に響くエモーションを表現することでした。
そのために私たちはリズム、スピード、テンション、連続性といった動きに関連のある要素と、動的バランスに主眼を置いて、アスレチックなデザインを実現しました。
Mazda6の最もユニークな個性はアスレチックで凝縮された存在感です。ショルダーを明確化し、ボディのコーナー部分を削ぎ落とし、視覚的な重量がタイヤの内側に収まるようにすることで、スポーツ選手に顕著な引き締まった雰囲気を実現しています。
Mazda6の顔つきはマツダのファミリーフェイスを進化させたもので、大胆で精悍な表情をしています。ヘッドランプは機能を一体化し、獲物を捕らえようとする野獣の鋭いまなざしを想起させるデザインとしました。インテリアは空間構成と機能レイアウトを最適化し、上質な快適性を提供するデザインにしています。
では、次にデザイン画を基に具体的な実車を造っていく工程を飯田がご紹介いたします。
[飯田政道パワートレイン開発担当]
マツダのダイナミックDNAである「人馬一体のドライビングプレジャー」を実現するため、今回Mazda6には新開発のエンジン、およびトランスミッションを採用しています。 リニアで軽快なリスポンスが狙いです。また、パワーと性能を保持しつつ同時に燃費、エミッションを高いレベルで両立しています。
北米市場には、2.3リットルの新開発I4エンジンと、3.0リットルのV6エンジンを用意しています。両エンジンとも、M/TとA/Tトランスミッションの選択が可能です。
新開発I4エンジンは、マツダが開発した、全く新しいオールアルミ製の新世代エンジンで、最大トルクの90%を1,750回転の低速から力強い加速を実現してます。
3.0リットルV6エンジンは、アルミ製シリンダーブロックの24バルブエンジンで、SVT、可変吸気システム、デュアルサイレンサーを採用しており、最高出力218HP、最大トルク192ft-lbのハイレベルで、パワフル且つフラットなトルク特性を実現しています。
さらに、V6エンジンは、5速オートマティックトランスミッションとの組み合わせがあり、エンジンのフラットなトルク、滑らかなサウンドに加えて、走りの上でも滑らかさを演出できる、Mazda6シリーズの頂点となる車にふさわしいパワートレンとして仕上がっております。
I4およびV6共に、ULEVエミッションに適合しており、クリーンでパワフルなエンジンです。
Mazda6の魅力的なデザインとパワートレインは非常に優れたドライビングダイナミックス、そして革新的なパッケージングによっていっそう引き立っています。
次に紹介させていただくのは堀です。
[堀智博プラットフォーム基本設計担当]
ドライビングダイナミックスは、お客様にマツダのズーム・ズームを体感頂く上で、非常に重要要素であります。「正確で優れたステアリング」、「気持ちの良いコーナリング」、「完璧に信頼できる制動性能」。これら3つの狙いを「乗心地や静粛性」を全く損なわずに実現しています。
フロントサスペンションは、ダブルピポットロアアームを持つハイマウントダブルウィッシュボーンを採用しました。
リアサスペンションは、マツダ独自の技術を備えたEタイプマルチリンクサスペンションを採用しました。また、このリアサスペンションはスプリングやダンパーを完全にフロア下に収めており、広くてすっきりしたラッゲージルームを実現しています。
ブレーキは、クラストップレベルの停止距離と、コントロール性に優れたペダルフィーリングを実現しました。ブレーキペダルレバー比の最適化、タイロッドタイプバキュームブースター、新開発ブレーキホース等を織り込みました。
乗り心地、静粛性の向上はボディ構造を工夫することで達成しました。ご覧の様にトーボード部に4本のクロスメンバーを設定するなど、性能向上に効く部分を見つけ出し効果的に対策しました。
安全については、UNCAPで最高の5つ星を獲得できる実力を社内テストで実証しました。あらゆる方向の衝突において、衝突エネルギーを効果的に吸収する新しいフレームワークを構築しました。またデューアルステージ・フロントエアバック、や新開発のカーテンエアバックなど最新の安全装備も充実しています。
それでは、最後にパッケージのポイントをご紹介いたします。
私達が、パッケージングで目指したのは、新しいグローバルスタンダートになろうという事でした。これを実現するために2つのテーマを掲げました。
1つは、世界中のお客様の様々な体格、好みに応える空間とする事です。1例として、ドライビングポジションの特性をご紹介します。
Mazda6では、クラスNo.1のシート及びステアリング調整量を備えており、様々な体格とお客様一人一人の多様な好みに応えられるよう配慮しました。これまでドライビングポジションを無意識に妥協していたお客様に、きっと驚きを与えるでしょう。
2つめのテーマは、お客様の多様な使用用途に応える、フレキシシビリティを備えることです。あちらのセダンをご覧ください。トランクヒンジが荷室に出っ張らないタイプを採用したことで、トランクには中型のスーツケース4つが収納可能です。5ドアハッチバックは更に大きな開口幅と荷室容量を確保しています。
また、リアシートには私達が「KARAKURIフォールド」と呼ぶ世界初の機能を備えています。
「カラクリ」とは、日本語で人が驚くような巧みな仕掛けというような意味です。このようにトランクサイドのレバーを引っ張るだけのワンアクションで後席のシートが倒れ、完全なフラットフロアが実現します。
この機能をビデオでご説明します。
後席シートバックが倒れると同時にシートクッションが下に沈み込んでますね。ごく簡単なワンアクションで広々とした荷室を確保できるのです。
以上、Mazda6の魅力についてご説明しました。ありがとうございました。ではフィールズ社長、お願いします。
[マーク・フィールズ代表取締役社長兼CEO]
昨年デザインエンジニアリングモデルとして皆様にご紹介したRX-8は、世界中を興奮の渦に巻き込みました。RX-8はマツダのブランドアイコンになります。RXの名前を過去の歴史の中にとどめるだけでなく、未来にも名前を轟かせるRX-8の量産化をいよいよ承認しました。これぞ究極のエクサイトメントです。
マツダRX-8は、4ドアスポーツカーとして全く新しいコンセプトを提案しています。RX-8には新開発の高性能かつ軽量化されたロータリーエンジン「RENESIS」を搭載、フロントミッドシップレイアウトに加えセンターピラーのないフリースタイルドアを採用しています。
そして、スポーツカーフォルムのなかに、大人4人のための適正な居住空間を確保し、類をみないドライビングプレジャーを提供します。こちらがRX-8の最終スタイリングになります。2003年には皆様に一般道路で見て頂くことができると思います。
本日はお忙しい中お越し頂きありがとうございました。昼食を用意いたしておりますので、ゆっくりとおくつろぎ下さい。