社長・役員
スピーチ
新型「マツダ アテンザ」新車発表会 社長スピーチ
【代表取締役会長 社長兼CEO 山内 孝】
皆様、おはようございます。
本日はお忙しい中、「新型マツダ アテンザ発表会」にお越し頂き、誠に有難うございます。
私達は、「マツダ アテンザ」をマツダのフラッグシップモデルと呼んできました。このクラスのミッドサイズカーは各社とも、その技術の粋を集めて開発された、各ブランドを代表する名車が揃っています。それはマツダにとっても同じです。まずは「アテンザ」が私達にとっていかに重要な車であるか、お話ししたいと思います。
私達はちょうど10年前、2002年5月に初代「アテンザ」を国内で発表いたしました。それは、厳しい経営状況の中で、私達が18ヶ月ぶりに発売する、起死回生の新車でした。発表会で「この車は、マツダ82年の歴史の中で忘れられない車の一つになる」とご挨拶したことを、私は今でも鮮明に覚えています。
新生マツダのブランドメッセージ゛「Zoom-Zoom」を最初に体現した初代「アテンザ」は、パワートレインやプラットフォーム等を一新し、走る歓びを徹底して追求致しました。この走る歓びで「アテンザ」は、初代と二代目を合わせ販売累計240万台以上、また、世界各国で186もの賞を受賞するなど、大変ご高評を頂いて参りました。
初代「アテンザ」と共に、新しいブランドメッセージ「Zoom-Zoom」も大きな話題を作って参りました。子供の頃、誰もが経験した動くモノに対する感動・あこがれを、「Zoom-Zoom」という一言に表現し、世界中でキャンペーンを開始致しました。以来一貫して私達は、お客様に「心ときめくドライビング体験」を提供する為、マツダブランドのDNAを「Stylish センスの良い: Insightful 創意に富む: Spirited はつらつとした」と定め、これを実現する商品づくりとマーケティングに徹して参りました。おかげさまで、マツダの歴史始まって以来の事ですが、商品づくりでは世界各国でカーオブザイヤー等700を超える賞を頂きました。また、「Zoom-Zoom」は世界中で誰もが口ずさむ人気のブランドメッセージとして認知されています。
あれから10年、マツダ92年の歴史の中で、私達は今、新たなステージを迎えています。先ずは今年2月から、「SKYACITV技術」の全てと「魂動デザイン」を搭載した、新世代商品第1弾、「マツダ CX-5」をグローバルに発売いたしました。お陰様で、「CX-5」は世界中でホットセラーとなり、各国で当初目標を大きく上回る受注を頂いています。いまだに各地でお客様にお待ち頂くなど、心苦しい状況となっていますが、連休を利用し今年8月に1度目を、年末年始には更に2度目の生産増強を行い対応して参ります。
そして本日、三代目「アテンザ」の発表会で、私はまた「この車こそマツダの歴史上、最も輝く1台になる」と申し上げるという、不思議な巡り合わせを感じています。新型「アテンザ」は、魂動デザインに加え、我々が「今持てる技術のすべて」と「こだわり」を結集してつくり上げた、新世代商品第2弾です。「走る歓び」と「優れた環境安全性能」の調和を実現した、SKYACTIV技術の最高峰とも言うべき、フラッグシップモデルに仕上がりました。
さて、このクラスのグローバル市場は、主に米国・中国が牽引する年間約500万台規模の非常に競争の厳しいセグメントです。「アテンザ(海外名:Mazda6)」は、欧州・北米・オーストラリア・日本・中国など、世界120ヶ国以上に導入し、年間約24万台の販売を目指します。国内の新型「アテンザ」は月販1,000台を予定しています。
「CX-5」に続き、新型「アテンザ」セダン・ワゴンにもSKYACTIV-D 2.2ディーゼルエンジンを搭載し、国内クリーンディーゼル市場の更なる拡大に挑戦致します。また、新たにSKYACTIV-G 2.5ガソリンエンジンや6速マニュアルトランスミッションSKYACTIV-MTを国内導入、SKYACTIV技術の異次元の走りを、より多くのバリエーションで楽しんで頂くことが可能となりました。
また、「CX-5」に搭載したSKYACTIV技術を更に磨きあげた上、マツダ独自のアイドリングストップシステム「i-stop」と減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」を、日本では全車に標準で採用いたしました。この「i-ELOOP」は、乗用車としてはマツダが世界で初めて、蓄電器にキャパシターを採用したモノで、「i-stop」との組み合わせにより、約10%の燃費向上に貢献します。
SKYACTIV技術の全面採用により、先代アテンザと比較してSKYACTIV-Gガソリンエンジン車は約30-40%の燃費向上、SKYACTIV-Dディーゼルエンジン車は2.5Lガソリンモデルと比べ、70%以上の燃費向上を実現しました。その結果、新型「アテンザ」は、SKYACTIV-Dディーゼルエンジンで、4リッターV8ガソリンエンジン並みのトルクを発揮しながら、22.4L/Kmと同クラスのハイブリッド車に匹敵する燃費を達成いたしました。
また、新型「アテンザ」には、マツダ先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を採用し、ドライバーの安全運転をサポート致します。
ここで、マツダビジネスにおける新型「アテンザ」の意義をまとめます。
まず第1に「マツダブランドの象徴」です。
10年前と同様に、またこの車からマツダブランドの新しい1ページが始まります。それは、マツダが「プレミアムなブランドになる」という夢に向かい、一歩を踏み出すきっかけになる車が新型「アテンザ」だということです。決して、高額車を販売するプレミアムブランドになると言っているわけではありません。マツダが目指すプレミアムなブランドとは、お客様の人生において、マツダがかけがえのない存在になること。お客様との間に「特別な強い絆をもったブランド」になることです。そんな私達の願いを込めて、この度、世界で最も美しい赤、新色「ソウルレッドプレミアムメタリック」を開発し、マツダの新しいブランドイメージを象徴するカラーとして新型「アテンザ」から導入して参ります。
第2に「モノづくり革新」の成果です。
私は、「モノづくり革新」による開発・生産・調達の効率化で、1ドル77円、1ユーロ100円の為替レートでも、日本から輸出して利益の出る体質にすると申し上げて参りました。「CX-5」から始まった新世代商品導入以来、「モノづくり革新」によるコスト改善効果は顕著に表れていますが、新型「アテンザ」投入により、さらに収益向上に貢献すると確信しています。また、「Mazda6/アテンザ」は防府工場での生産に加え、中国、ロシアでも生産を行うなど、グローバル戦略に基づき生産されるクルマとなります。
第3は「売り方革新」です。
フラッグシップモデルの販売にあたり、その商品力に見合う価格での販売、残価の向上、商品にふさわしい店舗環境の開発、より上質なサービスの提供など、「販売サービス現場の革新」にもより一層拍車をかける所存です。
さて、8月末のモスクワモーターショーでセダンタイプの新型「Mazda6」を世界初公開してから、9月パリモーターショー、10月シドニーモーターショー、そして本日と、新型「Mazda6/アテンザ」をグローバルに順次発表して参りました。モスクワショーでは、ショーに出展したすべてのミッドサイズカーの中で最高の賞を頂戴するなど、評判は上々で、確かな手ごたえを感じています。
一方、日本では世界に先行して、10月6日から新型「アテンザ」の予約を承っています。昨日までに、すでに月販目標の4倍を上回る、4,300台以上のご予約をいただくという、素晴らしいスタートを切ることが出来ました。このクルマに賭けた私たちの心意気をご理解いただき、ご予約下さったお客様に、心から御礼申し上げます。
10年前、最大の危機を乗り越える為、新しいマツダに生まれ変わろうと誓ったあの時の社内、それと同じ、またはそれ以上の機運が今社内に満ちています。私達がこだわる「走る歓び」をお客様に提供するため、マツダグループ全員が心を一つにして、新型「アテンザ」の導入を進めて参ります。ぜひ皆様も、マツダ渾身のフラッグシップモデルにご試乗いただき、マツダの「こだわり」をお確かめ下さい。ご静聴ありがとうございました。