社長・役員
スピーチ
「マツダアクセラ」国内発表会
[井巻久一代表取締役社長兼CEO]
みなさま、おはようございます。マツダの井巻久一でございます。本日は、マツダの新型車「アクセラ」の発表会にお越しいただきまして誠にありがとうございます。
8月末に、私はマツダの社長に就任致しました。日本のみならず、世界中で活躍するマツダ社員の姿を考えた時、私は、マツダという会社は本当に素晴らしいチームだと改めて確信しております。このような素晴らしいチームを率いることは、私にとって、大きな責任であり、誇りでもあります。
そして私は、本日、これだけ多くの皆様とお会いできたことを大変嬉しく思っております。同時に、このような場をもてたことを、とても誇りに思います。それは、本日の「アクセラ」の発表会が、これまで私たちマツダの全社員が一丸となって推進してきたミレニアムプランの、大きな節目となる瞬間だからです。
2002年の春以来、マツダは、‘Zoom-Zoom’、つまり「運転することがワクワクするような」新世代商品を次々と市場に送り出して参りました。昨年導入したアテンザ、デミオは、おかげさまで国内だけでなく、世界の市場においても極めて高い評価を頂いております。さらに、今年導入したRX-8も日本、北米、オーストラリアで高い評価をいただき、まもなく欧州でも販売を開始いたします。このように、グローバルブランド戦略に基づくマツダの新世代商品は、いずれも大きな成功を収めて参りました。
そして、本日発表する「アクセラ」は、新世代商品の第4弾となる新型車です。一人一人の社員が全力を出し、世界中のお客様にマツダブランドのファンになってもらえるように造り上げた「アクセラ」は、単なる新型車という枠を超え、むしろ新しい種、新種に近いとさえ言える、特徴をもった商品となりました。
ここに一輪の青いバラがあります。バラといえば、多くの方は真っ赤なバラを想像されるかと思います。しかし、本日この会場を彩っているのは、ご覧の通り、青いバラです。青いバラは自然界には決して存在しない色です。しかし、誰もが作ろうとし、手に入れたいと願ったものです。この青いバラの存在感は従来のカテゴリーを抜け出し、これまでにない新たな基準を生み出そうという、私たちの熱い思いのあらわれであり、本日送り出す、このクルマにあい通ずるものなのです。
お待たせいたしました。ご覧いただきましょう。新車というより、新種に近い「マツダアクセラ」誕生です。
いかがでしょうか。この「アクセラ」の導入で、ミレニアムプランの中で新世代商品として開発してきた、4つの基幹商品が出揃いました。
「アクセラ」は、際立つデザイン、優れたダイナミックパフォーマンス、高い品質など、マツダの新世代商品に共通する要素を満たしながら、マツダらしさに更に磨きをかけたクルマです。この「アクセラ」は開発当初から、世界のコンパクトカー市場で勝てるクルマを目指して開発してきました。マツダならではと言える走りのすばらしさと、完成されたクラフトマンシップを継承し、世界のトップを十分に狙えるこの「アクセラ」は、ポストグローバルカー、つまりコンパクトカーの新しい世界標準となり得るクルマだと自負しております。
冒頭のVTRの中でもいくつか見ていただきましたが、国内での発表に本日に先立ち、「Mazda3」として発表した欧州では、おかげさまですでにジャーナリストを中心に極めて高い評価を頂いて得ています。
「アクセラ」の導入は、欧州、日本だけに留まりません。私達は「アクセラ」を、全世界で年間25万台を販売する、マツダの最量販車種と位置付けています。欧州、日本国内に続いて、「アクセラ」は今後、北米をはじめ、マツダが展開している世界の約100の国、市場において、導入する予定です。
「アクセラ」は、世界中にマツダブランドを浸透させる役割を担うクルマ、なのです。
この「アクセラ」の導入により、4つの新世代商品でマツダの全世界の3分の2の販売台数を占めることになり、これからのマツダを支える基幹商品のラインアップが出揃ったことになります。
皆様、これからのマツダは、常に挑戦しつづける「マツダスピリット」と4つの強力な基幹商品に裏打ちされた、「飛躍する企業」と捉えていただきたいと思います。
今後は、ミレニアムプランの達成に向けて、このラインアップをベースとした商品主導のマツダの成長をさらに加速させ、これまでの基盤を踏み台に、大きな飛躍を目指して参ります。
それではここで、「アクセラ」の開発主査である谷岡から「アクセラ」の特長を皆様にご紹介いたします。谷岡さん、お願いします。
[谷岡彰主査]
みなさん。おはようございます。アクセラ開発主査の谷岡でございます。
本日は非常に緊張しており、胸がドキドキしております。と申しますのも、これまで私達が手塩にかけて育成して参りましたアクセラを、このような晴れやかな舞台で初めて御披露目させていただく機会を得まして、私の娘が小さい頃のピアノの発表会で感じた緊張感を味わっている訳であります。
さて本題に入りますが、皆様も御存知のように、車の開発は、「企画」、「デザイン」、「開発育成」、「生産準備」というステップで行います。
最初の企画の段階では、どの市場で、どう言う敵と戦っていくかの戦略を立てます。アクセラは、日本国内のみならず、グローバルのマーケットで戦えるクルマを目指しました。そこには、VW Golf、プジョー307、Ford Focusと言った強豪が競争相手として君臨しており、これら強豪と真正面から競争することにチャレンジしたのです。
マツダにとっては、武蔵丸に高見盛が挑戦していくことに似ています。しかし高い目標を設定したことで、マツダのデザイナー、そしてエンジニア達は燃えたのです。そして完成したアクセラは、世界のマーケットで戦える十分なポテンシャルと魅力を持ったクルマに仕上がったと、一点の曇りもなく、自信を持って紹介できるものとなりました。
アクセラの魅力を、3つのキーバリューに沿って説明いたしましょう。3つのキーバリューとは、「デザイン」、「クラフトマンシップ」、そして「ダイナミック性能」です。
まず、一つ目のキーバリューは「デザイン」です。デザインは、持っていることを見せびらかしたくなるクルマには欠かせないファクターと考えています。私達はデザインを開発する上で次の2点に注力しました。1点目は「一目見て人の気持ちを引きつけるスタイリング」。2点目は「何度見ても最初の魅力が失われず、飽きがこないスタイリング」です。人の気持ちを引きつけ、飽きをこさせない、本物のデザインを目指したのです。
ステージを見てください。
アクセラには、5ドアと4ドアの2つのボディタイプがあります。5ドアは先進的で個性的なスタイルが特徴です。4ドアはスポーティなクーペルッキングが特徴です。そして共通の特徴が高級感です。この高級感こそが、「飽きがこない」ポイントになっているのです。
みなさんに特に注目して欲しいのが、リアビューです。5ドアだけでなく、4ドアのリアビューも、ヨーロッパの試乗会では、高い注目と評価を集めました。
「おっ、これまでにないスタイリングじゃないか!」という反響でした。
さらに私達は、ノーマルタイプに加えスポーツ・アピアランス・パッケージも準備しました。グリル、バンパー、サイドスカート、リアスポイラーと17インチタイヤを専用とし、よりSportyなスタイルを具体化し、お客さまの選択肢を拡げました。
次にインテリアです。インテリアのデザインは、エクステリアと同じように「Sporty」というキーワードに細部までこだわりました。エクステリアで感じた「ワクワク」をシートに座っても同じように感じていただけるように、全体の統一感、装備も三眼メータ、メタル調パーツ等の配置の工夫をしてきました。
アクセラの2つ目のキーバリューは、品質、「クラフトマンシップ」です。クラフトマンシップは「匠」の世界と言い替えられますが、「飽きのこない」ための重要な要素でもあります。このクラフトマンシップの開発に際しては、「人間の五感にやさしい」をキーワードに進めてきました。
ドア開閉時の音、運転席シートの座り心地、インパネ廻りのデザイン、ハンドルの握り感、メーター機器類の操作感など、約1500項目のチェックリストをもとに作りこんで参りました。
「品質の作りこみ」「機能美」といった領域に加え、カスタマーディライトの領域にも踏み込みました。いわゆる、お客さまに「アッ」と言わせたいアイテムです。例えば三眼メータには、一部の車種にイグニッション・オンに合わせ浮かび上がってくるブラックメータを採用し、ブルー間接照明を設定いたしました。
さて、3つ目のキーバリュー、ダイナミック性能について説明いたします。ダイナミック性能と言いますと「Fun to Drive」がすぐに頭に浮かびますが、私達は「安心速度」というさらに上の概念を目指したのです。
ここで安心速度について説明が必要でしょう。
車を運転するとき、車速を上げていくとドライバーには様々な危険信号が入ってきます。エンジン音、風音、タイヤ音、車線変更時の車体の揺れなどで、ドライバーは車速を感じ緊張するのです。
ヨーロッパの高い評価を得ている車は軒並み高い車速でこれらを感じる事が判っています。安心して運転できる速度が高い、すなわち高い安心速度をもっているのです。140km/hで運転していても100km/hで運転している感覚なんです。
この安心速度を高める為には、ハンドリング性能、ステアリング性能、NVH、パフォーマンス等を総合的に高めていかなければなりません。マツダの技術力の総力戦ともいえるでしょう。その結果、お客様にも「Fun to Drive」を感じていただけるのです。
その中で、特に重要となるのが車体剛性です。わかりやすい例を挙げます。コンクリートのマンションの部屋と木造アパートの部屋を想像してみてください。コンクリートのマンションの部屋は、木造と比べ頑丈であるだけでなく、外部からの様々な音や振動が侵入しにくい構造になっています。
安心速度を高くするために、アクセラでは、まず、コンクリートマンションのような、高い車体剛性を確保することが必要でした。
車体には、VTRでご覧頂いているようなような補強を加え、ボディ全体の曲げ剛性を40%向上。さらにアテンザから導入したサスペンション・タワー付け根の局部剛性の、大幅な向上を実現しました。この局部剛性の大幅な向上は、家の梁と柱の接合部にアングルで補強を加えていることを想像していただけますと理解しやすいかと思います。
次にしっかりしたボディに高いポテンシャルのサスペンションを組み合わせるというコンセプトが生まれる訳です。
フロントサスペンションにはサブフレームとボディを取り付ける4点にラバーマウントを、下部アームの後端部分には液体封入マウントを装着しました。これはタイヤなどからの振動を低減する高等手段でありまして、C/Dカークラスに採用されているものです。
リアサスペンションには、これもC/Dカークラスで採用しているマルチリンクサスペンションを採用いたしました。22ケ所のリンク&Bushを介して、タイヤからの振動の低減を実現しています。
こうした高いポテンシャルを持った走りには、当然、高い信頼性と制動力をもったブレーキが必要になります。アクセラではまず、ブレーキサイズの大径化をはかりました。その上で、ドライバーのイメージ通りに制動力を発揮するペダルの操作感にもこだわり、このクラスではトップレベルの制動距離を実現しました。
もちろんエンジンは、マツダの次世代を担うMZR直列4気筒DOHCエンジンに、さらに熟成を重ねた上で搭載しています。通常の小型車で採用される1.5L、2.0Lに加え、特にアクセラでは2.3Lも準備しました。
これらのエンジン3機種に関しては全てU-LEV規制に適合できております。1.5Lと2.0Lの一部については、グリーン税制にも適応しています。胸のすく加速感が満喫できるトルクフルな走りが、アクセラのステアリングを握る全ての方に体験していただけると思います。
実は私は、私自身の特別のダイナミック評価モードでアクセラを評価して参りました。一つが、ハンドルから手を離して、ハイスピード・テストコースを一周するモード。もう一つが、同じくハイスピード・テストコースのバンク最上段を180km/hで走行し、4車線を乗り越えて一気に低速車線に降りる。いわゆる「ジェットコースター」のモードです。
この2つの「特別モード」をヨーロッパの高級車でテストしたときに感じられる、ビロードのマットの上を走っているような安心感を体で覚えているのですが、アクセラは、いずれのモードの場合も同じフィーリングで仕上がっている、すなわち高い安心速度を達成できたことを評価できました。
ここまで、アクセラを「デザイン」、「クラフトマンシップ」、「ダイナミック性能」という3つのキーバリューに沿って説明してまいりましたが、アクセラが完成に至ったのは開発チームの一人一人が100%以上の力を発揮してくれたからに他なりません。
車の部品は、2万5千から3万5千点あるといわれています。つまり、それだけたくさんの専門家が関わっているということです。彼らの力を最大限に引き出すことが、アクセラ開発における、私の最大の仕事でした。仕事の成果は結局は人が出していくんだ、と言うのがリーダーとしての基本的な考え方であります。
先程からみなさまにご覧いただいている写真は、アクセラの開発チームのメンバーです。メンバー一人一人が、自分の専門領域で100%以上の力を発揮して出した成果の積み重ねでアクセラは完成しました。達成感にあふれた、一人一人の顔を見てください。やり切った自信と達成感を感じていただけるかと思います。
この後、皆様には、看取り会場でアクセラを評価していただきます。皆様の評価で、今晩、私達がうまいビールが飲めるかどうかが決まります。是非、今晩はうまいビールが飲めますように期待しております。
私の話は以上ですが、次にアクセラの国内販売・マーケティング戦略について、古田の方から説明させていただきます。古田さん、お願いします。
[古田正雄常務執行役員]
国内営業を担当致しています、古田正雄でございます。
平素はマツダをご支援賜り誠にありがとうございます。また本日はご多用中のところ発表会にご出席賜り厚く御礼申し上げます。谷岡主査からの説明でアクセラの開発意図、商品の出来栄えと作りこみの程はご理解いただけましたことと存じます。
私からは、アクセラの販売戦略とマーケティング方針についてご説明させていただきます。
マツダにとってアクセラの果たす役割は、ミレニアムプランに基づく新開発プラットフォームの完成により、お客様ニーズの大半をカバーする商品体系を充実提供することです。
マツダのミレニアムプランでは、次世代の商品開発のため、乗用車のプラットフォームを一新することを決めて、昨年以来新しいコンセプトに基づきアテンザ、デミオ、RX-8を市場に導入、そして今回アクセラ投入によりBカー、Cカー、C/DカーのFFプラットフォームに加えFRスポーツカー用のプラットフォームが揃い、初期の開発目標が達成の運びとなります。
皆様のご支援のおかげさまで、この少ない車種投入が等しく販売目標を達成し、新開発のエンジンと共にプラットフォームの優秀性を実証しました。このことはミレニアムプランの車種ラインUPの方向の正しさを確信させてくれます。
これからはこの優れたプラットフォームをベースに、お客様ニーズに合った商品を派生させることが可能となります。そのためにも今回の中核車種アクセラは、何としても販売面での成功も勝ち取らねばなりません。
幸いにも、お客様からご覧になってもデミオとアテンザの間をつなぐ車種が待望されていましたので、Cクラスの日本を代表する車として新登場するアクセラは、その役割を充分に果たしてくれるものと確信しています。
アクセラのマーケティングと販売方針の狙いは、幅広い機種と価格体系により、当社の最量販車のひとつとしてアクセラを育成することです。
近い将来の販売目標は、国内3万台、欧州7万台、北米10万台、アジア・オセアニア他で5万台の合計25万台の販売を計画しています。
国内では本格的なダイナミック性能と骨太なボディによる安全性能、量感溢れるデザインにより、大衆車を一歩抜き出てその存在感をお客様にアピールすべく、ネーミングもアクセラに一新し、新しいカテゴリーを提案することと致しました。世界のマーケットで年間25万台の販売を目指すべく、そのエンジン体系は各仕向け地毎に広範囲な設定となっています。
日本では、4ドアセダンと5ドアスポーツに各々1.5L、2.0L、2.3Lを設定し、価格も1.5Lの1,395千円から2.3Lの最高機種23Sの1,950千円とワイドレンジながらお買い得な価格を設定しました。ひとめ見て分かるデザインの先進性とあいまって、お客様のご予算にきっと納得いただけると存じます。
TRY&JUDGEキャンペーンの開始
アクセラの走り。これはアクセルを踏み込んだ時、コーナーを駆け抜ける時のクルマとの一体感は、ロードスターの持つ「人馬一体」の感覚そのものに極めて近いものです。
昨年アテンザ導入の時、試乗されたお客様から「日本でこんなクルマがあったのか!」という驚きの声をいただきました。アクセラでは、その時以上に驚きの声が聞かれることは間違いないと存じます。
この「乗ってみればすぐ分かる」走りの素晴らしさを、多くのお客様に体験して頂くために、アクセラでは、TRY&JUDGEキャンペーンという、試乗を核としたマーケティングキャンペーンを展開します。
アルプスの山々やパリの郊外といった、アクセラのデザインが映えるヨーロッパでのユーザー試乗や、より多くのお客様に体験して頂くために東京モーターショーの開催期間に併せた幕張での試乗イベントを企画しています。そして試乗頂いた方々の生の声を、広告やインターネット上でも公開して参ります。
「ウェブチューンファクトリー」サイトの立ち上げ
ロードスターのインターネットカスタマイズで好評のウェブチューンファクトリーに、ロードスター専用車と同時にアクセラを追加し、10月24日より申し込みの受付を開始します。
ドア、エンジン、ミッション、インテリア、オプション、ボディカラー等約700通りの組み合わせを可能にし、より分りやすく、楽しい選択を実現しました。マツダ独自のインターネットカスタマイジングの進化でございます。是非一度サイトを覗いていただければ幸いでございます。
以上で、私の説明を終わらせていただきます。ご清聴誠にありがとうございました。それでは最後に、アクセラのCMを見ていただきたいと存じます。
(マツダアクセラのCMを上映する)