社長・役員
スピーチ
マツダ プレスカンファレンス (於:北京 ケリーセンターホテル)
【ジョン・パーカー副社長執行役員】
皆さん、こんにちは! 悠好!本日はここ北京で、マツダとマツダの中国でのビジネスについて皆様にご紹介する機会を持てたことを大変うれしく思っています。
私の同僚でもある尾崎さんは、今月下旬にマツダの中国戦略担当の専務執行役員に任命されることになっています。彼にこの後で、マツダの中国でのビジネスの進捗状況を語ってもらいますが、その前に、マツダのグローバルでのビジネスの展開につきまして、私よりお話をさせていただきたいと思います。
過去2年間、マツダは世界中でめざましい成長を実現しました。 私達はブランドの独自性に再びフォーカスし、ビジネスに再注力することにより、世界中のオピニオンリーダーから新たな注目をいただくようになりました。 2002年以降、私達マツダは、全世界での販売の3分の2を占める新世代商品4車種を投入しました。その4車種とはMazda6(日本名:マツダアテンザ)、Mazda2(日本名:マツダデミオ)、RX-8、そしてMazda3(日本名:マツダアクセラ)です。 これらの新商品は、世界中のお客様に驚きと喜びをもって受け入れられています。私達も驚き、また喜んだことに、これらの新商品は、世界中で140以上もの名誉ある賞を受賞しています。それらの賞の中には、Mazda6が獲得した2004年中国カーオブザイヤーも含まれています。 事実、マツダは過去2年間で世界中のどのメーカーよりも多くの賞を受賞した自動車メーカーです。
さらに、株主の立場から見ても、マツダは着実に利益を増大させていると言えます。 多くの施策の実施により、昨年は、3年連続の増収増益、そして営業利益は前年比39%アップし、ここ10年で最高の年となりました。 マツダがこれほどの競争力を見せたことは今までにはありませんでした。 しかし、非常に競争の厳しいグローバルな市場の中では、マツダはまだ比較的小さな企業ですから、私達はまだまだ頑張る必要があります。 私が今ここで、マツダが全力で取り組んでいることをお話すれば、マツダは自信を持って取り組んでいるけれども、決して自己満足にひたっているわけではないことを、お分かりいただけると思います。 私達は今後とも生き残りをかけて懸命に闘い、さらに前進しようとしています。
マツダの今後についてお話しする前に、マツダの概要について少しお話しさせていただきたいと思います。
マツダは1920年に広島で設立され、今でも広島がマツダの本拠となっています。 40年近くマツダは世界の主要な自動車メーカーとして活動しており、現在ではマツダブランドの乗用車と商業車は世界の140カ国以上で販売されています。 西日本にあるメインの生産工場のほかにも、15の海外生産工場で車の生産を行っています。 マツダグループ全体の従業員は、世界中で約36,000人となっています。
近年のマツダの商品主導の成功は、多くの市場に広がり、マツダはほとんどすべての市場で力強い成長を見せました。 実際2003年は2002年と比較して、マツダは世界の主要自動車メーカーの中でもっとも成長したメーカーでした。 ヨーロッパでの実績も例外ではなく、昨年は前年比26%販売が伸びています。 イギリス、イタリア、スペイン、そしてポルトガルで、過去最高の販売を記録しました。 そして今年も力強い成長が続いています。 米国では、前年同月比で過去8ヶ月続けて2桁の販売増加を記録しました。 カナダでは、2004年間で過去最高の販売記録を達成するような勢いです。日本では、昨年は非常に厳しい市場環境であったにもかかわらず販売を伸ばし、マーケットシェアを増大することができました。 一方、オーストラリアでは新商品の投入によって、2003年は過去最高の販売を記録しましたが、今年もさらなる記録更新を目指す勢いです。 中国での最近の実績もまた注目すべきもので、これについてはこのプレゼンテーションの後半でお話ししたいと思います。
しかしこのような成果を並べても、そのキーとなる質問の答えにはなっていません。その質問とは、どうやって私達がその成果をあげることができたのか?ということです。 近年のマツダの成功の原動力になったものは何か? それでは私がマツダの成功の秘密を皆さんにお教えしましょう。 数年前、マツダはある根本的な疑問に直面しました。 その疑問とは、なぜこの世界に8社もの日本の乗用車メーカーが必要なのだろうか? 他のどのメーカーも持っていないものでマツダだけが提供できるものは何か?ということです。
現在もそうですが、他と差別化出来ない自動車メーカーに将来はないことは分かっていました。 そして私達は次のような質問をしなければなりませんでした。 我々は何が優れているのか? マツダは、スピリット、スタイル、そしてパフォーマンスにその特性を持っていたのです。 これはMX-5のような素晴らしいスポーツカー、そして1991年のル・マンで優勝したロータリー搭載のレースカー、さらには一世を風靡したRX-7に現れています。 マツダはエンジニアリングにおける革新性かつ優秀性を徹底的に追求するということに優れています。 それはロータリーエンジンを完璧なものにするための40年間にわたる闘いにも象徴されています。 そしてマツダは、お客様の手の届く範囲内でプラスアルファのバリューを提供することでも優れています。
しかしどのようにしてすべてのものに焦点を当てることができたのでしょうか? この「マツダマジック」をどのように全ての商品に織り込むことができたのでしょうか? 出発点は、マツダの社員全員に同じ目標を持たせることでした。 その目標とは、マツダブランドの真のエッセンスを具現化するような商品を開発すること。 私達はこのエッセンスを3つの主要な属性に表現することができました。 それは、センスの良い、創意に富む、 そして はつらつとした です。 これらの属性は、現在でもそうですが、大変重要なものでした。 しかしこれらの言葉は、マツダブランドのエッセンスをあまり具体的に表現するものではなく、お客様をマツダの従業員と同じように興奮させることは困難でした。 その時私達は発見したのです。それはマツダブランドのDNAの背後にある基本的な決まり文句、非常にシンプルな、 “Zoom-Zoom”でした。
新世代商品を開発するにあたり、社内ではみんなの意識を一つのゴールに向けるため、このZoom-Zoomという言葉を使用してきました。 そしてそれこそが私達の成長の原動力となったものです。 Zoom-Zoomはマツダブランドの核となり、マツダブランドに力を与えるものとなりました。 これは非常にエモーショナルなコンセプトであるため、優秀な通訳者でさえも説明するのは困難かもしれません。 しかしこのビデオを見ていただくと、私達の言おうとしていることがわかっていただけるでしょう。
このワクワクするような感情は世界共通だと思います。 世界中のすべての文化に共通するものです。そしてそれはここ中国、マツダブランド車がすでに多く売れている中国市場でも大いに共感されるものであると確信しています。
ではここで、尾崎清さんをご紹介させていただきます。 中国でのマツダの現状と将来へのプランの概要を尾崎さんに語っていただきます。
【尾崎 清常務執行役員】
パーカーさん、ありがとうございました。
すでにご存知だと思いますが、Mazda6は、2004年中国カー・オブ・ザ・イヤーを獲得しました。そのふるさとは日本の西に位置する広島にあります。マツダは数ある日本の自動車会社の中でいちばん西にあり、中国に最も近い自動車メーカーと言えます。
すこし個人的な話で恐縮ですが、私の趣味である囲碁や麻雀は、もともとは中国で生まれたゲームです。どちらも戦略性に富み、深い読みを必要とする興味の尽きないゲームです。こうした素晴らしいゲームを発明した中国の先人に畏敬の念を抱いています。
私はビジネスの関係でよく中国に来ますが、そのたびにこの偉大な国について新しい発見をしています。中国の隣人として、歴史や文化を少しは知っているつもりでいましたが、本当はこういう事だったのかと認識を新たにする事態によく遭遇します。
そして、私たちが中国について、まだまだたくさん勉強しなければならないように、中国の皆さんにもマツダについて知って頂きたいことがたくさんあります。距離的な近さを踏まえ、もっともっと交流を活発にしてお互いの理解が深まればと思っています。
それでは、中国市場でのマツダのビジネスの歩みについてお話しします。
私たちが中国で生産に着手したのは1992年のことで、海南省でMazda929ワゴンを、福建省でBシリーズトラックの組み立てを始めました。これらのモデルはいずれもHipoca, Fortaという中国のブランド名で、販売もマルチブランドディーラーを通じて行って来ました。
マツダにとっての大きな転機は2001年です。同年5月に、一汽海南の協力によりMazda Premacyを、初めて「マツダブランド」で市場導入し、続く2002年7月にはMazda323を導入しました。さらに、2003年4月には長春の一汽乗用車でMazda6を導入しました。
これらの車の相次ぐ導入により、マツダ車の販売は飛躍的に拡大しました。2001年の10,000台から2002年は23,000台と倍増しました。また2003年には前年比3.5倍となる80,000台を達成しました。
何故、このような成果をあげることができたのでしょうか?
勿論、最大の要因は中国市場の急速な拡大ですが、それ以外に次の要因をあげたいと思います。即ち、
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今年の販売目標は、生産上の制約があるなかで前年比37%増の110,000台を見込んでいます。
私たちは、第一汽車グループと協力しながら、販売網の拡大を計画的に行っています。
中国での販売店は、2002年末には50店でしたが、2003年末には100店となりました。現在は144店で、年内にはさらに180店まで拡大する予定です。
販売網の拡大は、マツダディーラーへの希望者が予想以上に多いことから、当初計画を上回る速度で進んでいます。
これらの販売店は全てマツダ車の専売店で、ショールームやサービス体制などマツダグローバルブランドのディーラー基準に適合しています。今後は、販売店員のトレーニングやアフターサービス強化により注力し、最終的な目標である「お客様満足(CS)」の向上に取り組んで行きます。
先程パーカーさんが述べた通り、マツダのここ数年の成長は、グローバルな“Zoom-Zoom”戦略に拠るところが大です。
私たちはこのZoom-Zoomを、これから中国の市場で本格的に展開していきます。
なぜ、こうすることが効果的であると考えるのでしょうか?
世界の至るところに住んでいる洗練された中国人のお客様にセールスした経験から、私たちはここ中国でもきっと受け入れてもらえると確信しています。
具体的な例をひとつご紹介しましょう。例えば、カナダはマツダが最も強い市場のひとつですが、その首都であるトロントにはカナディアン中国人が43万人おり、マツダ車の強烈なファンがたくさんいます。その方々からのコメントをビデオでご紹介しましょう。
私たちは、競争の激しい中国の自動車市場で将来とも成長を続けるためには、他のメーカーとの違いを明確にして、マツダの個性を際立たせることが最も重要だと考えています。そのために、このZoom-Zoomを中国で本格的に展開して、マツダのブランドアイデンティティーを確立していきます。
現在、私たちは中国での将来戦略を構築しており、最後の詰めを行っているところです。私たちの計画の骨子は次の通りです。
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このように、ブランド力、ディストリビューション、生産能力をそれぞれ強化しながら、
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以上により私たちは、2010年には、年間30万台を生産し販売する体制を構築する計画です。
さて、私たちは中国で成長を遂げているわけですが、一方で、マツダが本当の意味で中国の皆さんに受け入れていただく為にはどうすればよいかについても真剣に考えています。
即ち、パートナーとともに高い品質の商品と充実したサービスを提供してお客様の満足を向上させ、雇用を創出し、そして環境問題にも積極的に取り組んで参ります。
これらの約束を果たすことにより、マツダは良き企業市民として皆さんに認めていただき、自動車メーカーとして中国の地に足をつけた企業として成長していきたいと考えています。
もうひとつ、私たちが今後実現したいことの一つに、中国のメディアの皆さんに広島を訪ねていただきたいということがあります。すでに2年前に、マツダの中国でのパートナーであるFAWのご努力で、何人かのメディアの皆さんを広島に招待する機会をもちました。これは、マツダにとってもメディアの皆さんにとっても価値のあるイベントであったと思います。
さて、最後に、Auto China 2004の会場のマツダブースに是非お越しいただくことをお願いして私の話を終わりたいと思います。マツダのプレスカンファレンスは、18:00すぎから始まる予定です。マツダの“Zoom-Zoom”ブランドをご紹介いたします。中国ではこれまで見ることができなかったマツダのクルマをご紹介する予定です。
会場には、“RX-8”と“MX-5”という世界的に高い評価を頂いているマツダのスポーツカー2台と、コンセプトカー3台、“MX-Micro Sport”、“Washu”、“RX-8 Hydrogen RE”を展示しています。
特に水素REは興味を持っていただけると思います。世界の市場で環境に優しいクルマが重要なことはいうまでもありませんが、ここ中国でも同様だと思います。
「百聞は一見にしかず」と言います。
実際に見ていただければ、私たちマツダがやっていること、又マツダがどのような点で他の競合メーカーと違うのかをきっとご理解いただけることと思います。私達はZoom-Zoomな企業なのですから。
ご清聴ありがとうございました。