社長・役員
スピーチ
2011 東京モーターショー:プレスカンファレンススピーチ
【代表取締役会長 社長兼CEO(最高経営責任者) 山内 孝】
皆様、おはようございます。
本日は、朝早くから「マツダ・プレス・カンファレンス」にお越し頂き有り難うございます。
一昨年の東京モーターショーで、初めてSKYACTIV技術を皆様にご紹介してから2年が経ちました。発表当時は、専門家の皆様ですらマツダの技術に対し半信半疑に見えました。昨年夏頃、試作車にご試乗頂けるようになった頃からやっと、「もしかすると、マツダは本気だったのかもしれない」「マツダの約束はウソではなかった」という声が聞こえてきました。私自身、初めてSKYACTIVのディーゼル車に試乗したときのことを、今でも鮮明に覚えています。圧倒的な加速と走りの気持ちよさに手が震え、早くこの商品を世に送り出したいと、胸が高鳴ったものでした。
そして、今年6月デミオに、9月アクセラにSKYACTIV技術の一部を搭載し販売を開始しました。電気自動車やハイブリッドとは違う選択肢として、「第3のエコカー」というカテゴリーが話題になりSKYACTIVの認知が高まりSKYACTIV搭載車の販売も好調です。しかし、きっと皆様は今こう思っておられることでしょう。「既存技術の改良など、どこのメーカーがやってもおかしくないのに、何でマツダだったんだ」と。
SKYACTIVの名前の由来でもある「The SKY is the limit」。これは、マツダエンジニアの開発スピリットを表しています。彼らは、大空のように無限の可能性を信じてSKYACTIVを開発しました。開発に当たり、社内の壁をとり除きあるべき姿の実現に向け、新たに1から設計・開発をし直しました。それは、開発だけに留まることなく、生産や販売、社内いたるところで今までのやり方を見直し改革を行いました。マツダのサイズだからこそ、出来たことだと言えるでしょう。
それだけではありません。忘れてはならないもう一つのポイントがマツダスピリットです。冒頭のビデオで見て頂いたように、マツダには「飽くなき挑戦」の精神が溢れています。量産車で初めてロータリーエンジンを搭載したコスモスポーツを発売した時、そのロータリーエンジンでル・マンに挑戦した時、オープン2シーターのロードスターを発表した時、私たちはいつも常識にとらわれることなく、夢の実現に向けて、愚直なまでに探求を続けました。そういった私たちのDNAがSKYACTIVを可能にしたのだと思います。この会場には、そんなマツダのDNAを体現するクルマたちが多数展示されています。その中から、今回初公開の2台のクルマをご紹介いたします。
まずは、「CX-5」の日本仕様車です。エンジン、ボディ、シャシー、トランスミッションを一新し、SKYACTIV技術のすべてと「魂動」デザインを搭載した初めての量産車です。世界中で成長しているクロスオーバーSUV市場にフルSKYACTIV第一弾として投入し、基幹車種の一つに育ててまいります。日本市場へは、ガソリン・ディーゼルエンジン共に、来年の春販売を開始する予定です。上質で気持ちの良い走りと、優れた環境・安全性能を高い次元で両立しますが、SKYACTIV-D 2.2とSKYACTIV-Drive、i-stopを搭載したモデルは、国内で販売されているすべてのSUVの中で最高の燃費リッター18.6Kmを達成する予定です。
そして、もう一台のクルマでさらに進化したSKYACTIV技術を提案いたします。早速ご覧いただきましょう。
このクルマは、電気自動車でもハイブリッドでもありません。SKYACTIV-D 2.2に6速ATのSKYACTIV-Drive、i-stop、減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」(アイ・イーループ)を搭載し、モーター駆動のアシストなしでハイブリッド車並みの燃費と圧倒的な走行性能を提供し、航続距離は1500Kmを達成する予定です。内燃機関エンジンを使用して徹底的にエネルギー効率を追及したSKYACTIVの最高峰であり、究極の「第3のエコカー」とも言えるコンセプトカーです。
「クルマのベース技術の革新を優先し、その上で段階的に電気デバイスを導入することで、お客様に大きな負担を強いることなく、すべてのお客様に、走る歓びと、優れた環境・安全性能を提供する。」というのが、マツダのビルディングブロック戦略です。この考えを具現化したコンセプトカーが、この「マツダ雄(TAKERI)」なのです。
また、雄(TAKERI)には、生物が見せる一瞬の動きの「強さや美しさ」を表現した「魂動」デザインテーマを採用し、既存のセダンにはない力強く艶やかなスタイリングを実現しています。後程、じっくりお近くでご覧ください。
2001年の東京モーターショーで、皆様に初めて「Zoom-Zoom」のブランド・メッセージをご紹介してから今年でちょうど10年目となりました。マツダブランドのDNAを「Stylish」「Insightful」「Spirited」と定義し、10年間一貫してブレることなく商品造りやマーケティングを進めて参りました。今までも、そしてこれからも子供の時に感じた動くことへの感動を持ち続ける人々に、「心がときめくドライビング体験」を提供するという私たちの姿勢に変わりはありません。
マツダはクルマに「ときめき」を求めるお客様から、強く支持して頂けるお客様と「強い絆」を持った存在感のあるブランドを目指して参ります。
今日、ここからマツダブランドの歴史に、新しい1ページが加わります。マツダの挑戦に終わりはありません。このスタンドで「環境の先にある走る歓び」を求め進化し続ける、マツダの想いを感じて頂ければ幸いです。ご静聴、有難うございました。