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Japan Mobility Show 2025 マツダ株式会社 プレスカンファレンス 社長スピーチ

【代表取締役社長兼CEO 毛籠 勝弘 (もろ まさひろ)】

 皆さん、こんにちは。マツダの未来ブースへ、ようこそ。

 今回私たちが掲げるテーマは「走る歓びは、地球を笑顔にする」です。この言葉は、マツダの原点であり、これからの挑戦のコアでもあります。人が自らハンドルを握り、気持ちよくクルマを運転する歓びを追求してきたマツダは、マルチソリューションで時代に適合し、この「走る歓び」を進化させ、お客さまの心を動かし、社会に貢献していきます。

 カーボンニュートラルという人類共通の使命のもと、クルマがただの移動手段から、社会とつながる存在へと変貌を遂げていく中で、私たちは、「走る歓びこそが、社会と地球の未来をよくする力になる」そう信じて、皆さんの「クルマが好き」「いつまでも運転をしていたい」という想いを叶え続けます。

 今からは、2035年に私たちが目指したい未来についてお話します。

 私たちが目指すのは、「走るほどにCO₂を減らす」未来です。マツダが着目したのは、クルマを走らせる燃料と、排出されるCO₂です。微細藻類から精製されるカーボンニュートラル燃料で走行し、排出されるCO₂を回収できれば、走れば走るほど大気中のCO₂を減らすことができる。そんなモビリティの未来が実現できると考えています。

 その1つ目の鍵は、微細藻類由来のカーボンニュートラル燃料です。微細藻類は、CO₂を吸収して成長する過程で細胞内に油脂成分を蓄積します。それを精製することでカーボンニュートラル燃料となります。私たちはこの研究で1,000Lの培養槽から約2週間で1L以上の燃料を精製する理論目標に到達しています。さらに、燃料成分を抽出した後の微細藻類には、たんぱく質など多くの栄養素が含まれており、健康食品や有機肥料として活用することができます。

 2つ目の鍵は、CO₂回収技術です。 エンジンから排気されるCO₂濃度は大気中よりも非常に高いものです。私たちが開発したCO₂回収装置「Mazda Mobile Carbon Capture」(マツダ モバイル カーボン キャプチャー)は、その排気からCO₂を直接集めることで効率的に回収することができます。そして回収した後のCO₂は、農作物の成長促進や高性能カーボン素材などに再利用が可能です。私たちは来月、この技術を搭載したマツダ55号車でスーパー耐久レースに参戦し、実証実験を開始します。こうしたアプローチによって、「走ること」が単なる移動を超えて、モビリティが「循環型社会」に貢献する未来を実現し、私たちはいつまでも「走る歓び」をお届けしていきます。

 さて、私たちが大切にしてきた「人とクルマの関係性」は今、進化の真っただ中にあります。自動運転やソフトウェア技術が進化し、クルマが高度な知能を持ったスマートモビリティへと発展していく中で、私たちが目指すのは、「クルマが人の意を汲み、意のままに、その可能性を広げてくれる未来」です。

 その実現に向けて、マツダが注力しているのが「人体・感性モデル」の研究です。人がクルマを通してどのように感じ、心を動かすのかを科学的に解明し、「快適な乗り心地」や「思った通りの走り」など、人の感性とクルマを繋ぐモデルの開発に挑戦しています。クルマがあなたを深く理解し、見守り、感情まで汲み取って、あなたの「したい」を叶えてくれる。そんな心の通った「人とクルマの関係」を実現したいと考えています。それではこうしたマツダの未来を象徴するビジョンモデルをご覧ください。

 いかがでしょうか?こちらは「MAZDA VISION X-COUPE」(マツダ ビジョン クロスクーペ)です。「魂動デザイン」を次のステージへと押し上げるこのモデルは、2ローター・ロータリーターボエンジンとモーター、バッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッドシステムを搭載。510馬力のシステム最高出力を誇り、モーターによる航続距離は160km、エンジン併用での総航続距離は800kmと、エンジンと電動化のベストバランスを実現します。そして、カーボンニュートラル燃料と「Mazda Mobile Carbon Capture」との組み合わせで、走るほどに大気中のCO₂を減らします。いつまでも思いっきり運転を楽しみ、クルマと共に豊かな人生を送っていきたい。そんな思いを2035年へとつないでゆくために、マツダが描く未来のモビリティを体現した一台です。

 そして、もう一つのテーマである人とクルマの関係の進化を象徴するのが、こちらの「MAZDA VISION X-COMPACT」(マツダ ビジョン クロスコンパクト)です。人の感覚をデジタル化した「人体・感性モデル」と共感型AIの融合によって、さらに深まる人とクルマの絆について、これからそれを描いていく若手メンバーから紹介してもらいましょう。

 皆さん、こんにちは。「MAZDA VISON X-COMPACT」デザイナーの高橋です。皆さんは、一人でクルマに乗っていて、「ちょっと退屈だ」と感じたことはないでしょうか。もし友人が隣に座っていたら、気取らずおしゃべりができ、気になっていたカフェに行こうとドライブに誘ってくれるかもしれない。走りやすそうな道を一緒に探したり、気配りのある運転を褒めてくれることもあれば、時にはアドバイスをくれることもある。予定のない休日には、何気なくクルマに乗り込めば気分に合った場所へと連れ出してくれて、世界が広がっていく。そんな心地良い距離感の友人と過ごすことで、人生の新たなページが増えていく。これから先、クルマがそんな“親友”のような存在になれば、きっと「クルマで出かけてみよう」と思う人がもっと増えるはずです。

 だからこそ、私は、楽しく運転に没入でき、クルマとの絆を強く感じられるようなデザインを目指しました。
出会った瞬間からクルマを近くに感じ、心が通い合う。そんな体験を提供したいと思っています。

 高橋さん、ありがとうございました。皆さん、いかがでしょうか?ワクワクしませんか?

 そして、こうした未来への先陣を切るのは、100以上の国と地域で450万台以上を販売してきた私たちのベストセラーモデル*の「MAZDA CX-5」です。8年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型CX-5は、ドアを開けた瞬間に乗る人みんなが快適で心地よく過ごせる広々とした空間が広がり、代名詞の”魂動“デザインはもちろん、意のままの”人馬一体”の走りをさらに磨き上げました。

 大切な人と一緒に「もっと走りたい」という気持ちにさせる一台です。さらに、電子プラットフォーム「MAZDA E/E ARCHITECTURE+」(マツダ イーイー アーキテクチャー プラス)を搭載し、大型ディスプレイを備えモダンに生まれ変わります。将来的にはGoogleアシスタントからGoogleのAIアシスタント「Gemini」へとアップデートし、運転中に「少し寒いかなぁ」と話しかければエアコンを自動調整し、もう少しあたたまりたければ「シートヒーターも付けて」と言えば音声だけで操作してくれる。まるであなたの親友が隣にいるような、新しい運転体験をお楽しみいただけます。

 これらは一例に過ぎませんが、マツダの「ひと中心」の哲学とテクノロジーの融合が、日々の移動をより快適に、生活をより豊かにしていくことを実感していただけるはずです。

 クルマがあなたの「したい」を引き出し、走るほどに人生が豊かになる。そして、走るほどにCO₂を減らしていく。それが、マツダが描く2035年のモビリティの未来です。「走る歓びは、地球を笑顔にする。」その未来へ、一緒に走っていきましょう。ありがとうございました。

* マツダの現行ラインアップにおける、2018〜2024年の最量販車種。