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東京オートサロン2024 マツダ株式会社 プレスカンファレンス スピーチ

【マツダ株式会社 代表取締役社長兼CEO 毛籠 勝弘 (もろ まさひろ)】

 皆さま、こんにちは。ようこそマツダブースへお越しくださいました。

最初に元日に発生しました令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災されたすべての皆さまに心よりお見舞い申し上げます。また、被災地域の皆さまの安全・安心の確保と一日も早い復旧・復興を心よりお祈りいたします。

 昨年マツダは、富士スピードウエイや岡山国際サーキットで、マツダファンフェスタを開催し、私たちの想定をはるかに上回る沢山の方々にご来場いただきました。私たちもファンの皆さまと一緒に楽しい体験の一日を過ごしました。サーキット走行やものづくり体験、試乗体験、ショッピング、カフェやランチ、あるいはコスメ体験まで。そして、もちろんレース観戦と応援など、幅広いお客さま層に楽しんでいただけるコンテンツをご用意したこともあり、とても熱量の高い、多くの笑顔で溢れたイベントになりました。

 そう、私達は「もっとクルマのある愉しさを味わい尽くしたい!」そう考えています。

 「クルマって楽しいよね」「出かけるっていいよね」そういう皆さんの前向きの気持ちをどんどん広げていきたい。走る歓びが生きる歓びに広がっていく、そんな素敵な時間をもっと体験を通して作り出していきたい。昨年11月にブランド体験推進本部を発足させ、この体験の愉しさを皆さんと、もっと共有していけるよう活動を進めていき、クルマを楽しみたい人のブランドへと成長していきたいと思います。

 昨年のジャパンモビリティショーでお披露目したコンパクトスポーツカーコンセプト「MAZDA ICONIC SP」(マツダ・アイコニック・エスピー)は、時代が変わっても、その時代に適合したソリューションで、「クルマっていいよね、楽しいよね」ということを提供し続けていくんだ、という私達の思いをコンパクトスポーツカーという形にまとめたものです。

 2ローターのロータリーエンジンをジェネレータとして持つこの独自のシステムは、普段はモーターとバッテリーで駆動するバッテリーEVとしてお使いいただけ、出かけた先では、電気を自由に使って楽しめます。また、キャリーバッグ二人分を搭載し、航続距離を気にすることなく自由にドライブ、旅行も心置きなく楽しめます。そして笑顔いっぱいで家に帰ってくる。スポーツカーですからパフォーマンスも一級品です。システム馬力は370馬力で、パワーウエイトレシオが4kg未満、つまりポルシェ911相当のパフォーマンスを秘めているんです。

 このコンセプトカーへは、多くの賛同や激励をいただきました。大変うれしく感激しています。この場を借りて皆さんに御礼申し上げます。皆さまに背中を押されて、この夢に近づくべく、2月1日にロータリーエンジン開発グループを立ち上げます。カーボンニュートラル時代に向けた課題をブレークスルーするため、エンジン方式の垣根を超えた広い技術視座と最先端の内燃機関技術を習得し、モデルベース開発の使い手としての鍛錬を経たロータリーエンジンの技術者たちが再結集します。そう甘くはないですが、飽くなき挑戦の新しいチャプターへ一歩進めれば、と思っています。

 さて、当社はトヨタさまにお声がけをいただきスーパー耐久シリーズに2021年より参戦をしてきました。カーボンニュートラルへの多様な技術を、レースを通じて磨き、切磋琢磨しながら、その技術の社会実装を早く進めることで地球環境への貢献や社会課題の解決に努めていくという趣旨で取り組んでいます。その活動を通じて、より多くの仲間が、同じ目標に向かって共に挑戦するという輪が目に見えて広がってきていると感じます。

 この間、当社はモータースポーツに係るブランディングとしてMAZDA SPIRIT RACING(マツダ スピリット レーシング)というサブブランドを生み出し、育成をしてきました。今回は、マツダスピード以来、25年ぶりにファクトリーモータースポーツ部門をブランド体験推進本部の中に設立しました。先ずは、グラスルーツをベースにおいたモータースポーツ活動を進めてまいりますが、その取り組み戦略や今年のモータースポーツ活動計画、コンプリートカーへの取り組みについて、MAZDA SPIRIT RACINGブランドのブランドホルダーに就任した、皆さまお馴染みの前田育男より、お話しさせていただきます。

【マツダ株式会社 シニアフェロー ブランドデザイン 兼MAZDA SPIRIT RACING チーム代表 前田 育男 (まえだ いくお)】

 皆さま、こんにちは。社長の毛籠より、将来に向けてのいくつかのワクワクする刺激的な話がありました。私は、MAZDA SPIRIT RACINGの代表であるブランドホルダーとして、また一人のモータースポーツファンとしても、このマツダのチャレンジを色んな形で多くのファンの皆さまに届けたいと考えています。

 MAZDA SPIRIT RACINGは、2021年からスーパー耐久シリーズ、ST-Qクラスに参戦を開始。企業数社で連携し、カーボンニュートラル時代のモータースポーツの発展を目指した活動を行っています。昨年からはファクトリーチームとして、MAZDA3とロードスターの2台でシリーズ参戦を行ってきました。

 加えて、マツダが長年大切にしてきた、カスタマーモータースポーツを、より身近で楽しい存在とするために、e-モータースポーツからリアルレースへのチャレンジ、そして、そこからスーパー耐久シリーズなどトップカテゴリーへ挑戦する、2つのチャレンジプログラムを実施しました。このチャレンジプログラムの2024年度の計画ですが、まず昨年6,500名以上のプレーヤーが参加したグランツーリスモ*大会 「MAZDA SPIRIT RACING カップ」のトップ30名に、リアルな体験プログラムに参加していただきます。また昨年、見事にロードスターのワンメイクレースシリーズのチャンピオンとなった優秀なドライバーの皆さんには、今年、S耐チャレンジプログラムの2期生として、倶楽部MAZDA SPIRIT RACING から、スーパー耐久シリーズに参戦していただきます。

 この2つのチャレンジプログラムを含め、今後も、多くの方々に「走る歓び」を体験していただける、モノ・コトづくりを行っていきたいと考えています。その活動の柱として、ファクトリーチームはスーパー耐久シリーズなど、プロフェッショナルなカテゴリーへの挑戦を続けます。そして、MAZDA SPIRIT RACINGを、これらの活動を支えるマツダのサブブランドとして育てていきたいと考えています。

 さて、今からご紹介するモデルは、MAZDA SPIRIT RACINGブランドから登場させるべく、市販化に向けて現在開発中のスペシャルモデルのコンセプトカーです。この東京オートサロンで初公開となる、こちらの2台をご紹介します。

 第1弾で検討しているのは、ロードスターのスペシャルモデル「MAZDA SPIRIT RACING RS concept」。国内初投入の2L エンジンを搭載したソフトトップモデルのロードスターです。スーパー耐久シリーズで培ったノウハウを生かし、そのままサーキットでも楽しめるクルマを目指し、エンジンと足回りに手を加えた上で、このモデルのようなレーシーなアピアランスに仕立てるつもりです。現ロードスターオーナーはもとより、もう少し“速さ”にこだわる方々も魅了出来るクルマを目指します。

 第2弾で検討しているのは、MAZDA3のスペシャルモデル「MAZDA SPIRIT RACING 3 concept」。基本の考え方は、ロードスタースペシャルバージョンと同じです。スペックなど詳細は検討中ですが、こちらも、スーパー耐久シリーズで戦っている#55号車のイメージと繋がる「モータースポーツの直系」であることを感じて頂ける内容に仕立てたいと考えています。

 加えて、MAZDA SPIRIT RACINGが手掛けるグッズ、マーチャンダイズも大事な柱の一つとして育成していきます。MAZDA SPIRIT RACINGを、より身近でかつ”スタイリッシュなもの”として捉えて欲しいと考え、ブランドのイメージを具現化した商品ラインナップの拡充を進めます。一例を挙げると、現在販売中のドライビングギアシリーズに、近々ドライビングウオッチを加えられるよう準備中です。マツダのデザイン力を生かした、魅力的な内容にしていくつもりですので、ご期待ください。

 次に、ファクトリーモータースポーツの計画をお話ししたいと思います。2024年シーズンも、昨年同様スーパー耐久シリーズST-Qクラスに、MAZDA3、ロードスターの2台を投入します。「共挑」をキーワードに、カーボンニュートラルを実現する技術の実証実験を行います。量産エンジンとカーボンニュートラル燃料の適合性、それをレーシングスピードで走らせた際の燃焼技術、ドライブトレインの耐久性、操作性など、様々な検証を行うことで、次世代のプロダクトに織り込む技術の選択肢を増やしていきます。そして、それを市販化に繋げることで、皆さまと共に「クルマの未来」を築いていくことが目的です。

 「MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept」は、次世代バイオディーゼル燃料の開発エンジン車として昨年1年間熟成を重ねた技術の集大成として、さらなる改良を加えつつ完成形を目指します。燃料以外のカーボンニュートラル技術にも挑戦していきますし、新たにドライブトレインにも手を加えたいと考えています。

 2号機「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept」は、2L エンジンにカーボンニュートラル燃料を使用。吸排気効率など、出力、レスポンスの改善や軽量化などロードスターらしい取り組みで戦闘力の向上を図ります。燃料は先行するトヨタさま、スバルさまとの共同開発メンバーに加えていただき、業界の垣根を越えて、未来に向けての開発に取り組んでいます。

 ファクトリーチームによるこの”究極の実証実験の場”への参戦は、「技術を鍛え、人を育てる」ことが目標です。技術もそうですが、その人材は、将来のクルマづくりに大きな財産になると考えています。現在、そこで得られた知見、技術を、将来のマツダらしいクルマづくりに活かすべく取り組んでいきますので期待してください。

 最後に、今期この2台で、共にチャレンジしてくれるドライバーを紹介致します。55号車、社内テストドライバー寺川和紘、そして井尻薫プロ、関豊プロの3名です。そして12号車、今期からチームに加わった社内テストドライバーの川田浩史、そして阪口良平プロ、堤優威プロの3名。私自身はどちらかのクルマに乗る予定です。このメンバーで車両を熟成し、クラストップを目指して戦うつもりですので、応援宜しくお願い致します。

 今年もこのような仲間たちとMAZDA SPIRIT RACINGの活動を盛り上げて参りますので、ぜひ注目ください。

*「グランツーリスモ」は、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標です。