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第1798号 2004年12月13日

マツダ、2.3L直噴ガソリンターボエンジンを新開発、
マツダスピード アテンザに搭載

-直噴システムとターボの組み合わせにより環境対応とハイパワーを両立-

 マツダ(株)は、排気量2.3リットルの直噴ガソリンターボエンジン「MZR 2.3 DISI TURBO」*を新開発し、2005年発売予定のマツダスピード アテンザに搭載する。
  * DISI(ディジー): Direct Injection Spark Ignition

 このエンジンは、「高出力化による圧倒的な動力性能」、「ハイレスポンスと豊かな低速トルクによる洗練されたリニアな走り」、「燃費、排出ガスなど環境への積極対応」の実現を求めて開発したもので、大排気量の自然吸気エンジンでは実現できないZoom-Zoomな走りをあらゆる走行シーンで体感できる、次世代のハイパフォーマンスユニットである。

 「MZR 2.3 DISI TURBO」は直噴システムとターボエンジンを組み合わせることで、ターボチャ−ジャー特有の圧倒的な加速力に加え、低中速域での豊かなトルク、優れたエンジンレスポンスを獲得するとともに、クリーンな排出ガスを実現した。

2.3L直噴ガソリンターボエンジンMZR 2.3 DISI TURBO
2.3L直噴ガソリンターボエンジンMZR 2.3 DISI TURBO

「MZR 2.3 DISI TURBO」の特長は以下のとおり。
低中速域のトルクアップ

最大11.5Mpaの高圧で霧状の燃料を筒内噴射する際の気化潜熱により、燃焼室の温度が下がり(筒内冷却効果)、混合気の充填効率を向上させた。これにより、3,000rpm付近を中心にトルクを最大で約10%高め(ポート内噴射ターボ比)、低中速域の扱いやすさを実現した。

優れたエンジンレスポンス
筒内冷却効果により初期加速の充填量がアップすることで、ターボチャージャーのタービン/コンプレッサー回転速度が素早くリニアに上昇する。このため、アクセルを踏み込んですぐの2,500rpm付近からターボの過給効果を発揮し、優れたエンジンレスポンスを実現した。

シングルターボで全速度域をカバー
直噴による前述のメリットにより、シンプルな構造の軽量シングルスクロールターボチャージャーで、低速から高速まで効率的な過給を実現した。これにより、排気系の熱容量が大幅に低減されるため、排出ガス温度の低下を最小に抑えることができ、厳しいエミッション規制への適合を可能にした。欧州排出ガス規制STAGE4を達成予定である。

触媒の早期活性化
筒内に霧状の燃料を直接噴射することでプラグまわりに良好な混合気が形成され、耐失火性が向上した。このため、失火を伴うことなく点火時期を遅らせることが可能になり、排出ガス温度が上昇しやすくなる。これによって、エンジン始動直後でも触媒をより早く活性化温度まで高めることができる。

低燃費に貢献する高圧縮比
筒内冷却効果により耐ノック性が向上し、高い圧縮比でも低速トルクを損なうことなくエンジン単体燃費を向上させることができた。この効果により、「MZR 2.3 DISI TURBO」はターボエンジンとして高圧縮比(9.5)を実現し、低燃費化に貢献できた。

ハイパワー化に対応する最適化技術
ハイパワー化に伴う高負荷、耐熱性対応として各部品の形状、材質の最適化を実施。シリンダーブロック、ヘッドに新鋳造法案(Advanced Precision Mazda Casting process)を採用し、ブロック強度を向上した。さらに、冷却水の通路であるクロスドリルをブロックライナー間とヘッドバルブブリッジ間に設定し、冷却性向上を図った。また、クランクシャフトをスチール製とし、クランクピン径をアップ。コンロッドにもスチールを採用し形状を最適化した。ピストンはコンロッドからフルフロート化し、回転系の剛性、強度を向上させた。


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