本文へジャンプ

第1749号 2003年9月11日

マツダ(株)、バンパーリサイクルのための新しい塗膜除去技術を開発

−塗膜除去率を99.9%まで高めることで「バンパー・トゥ・バンパー」リサイクルを実現−

 マツダ(株)は、回収バンパー再生時の塗膜除去プロセスにおいて、穀類総合加工機メーカーの株式会社サタケ※1と共同で光学選別技術を組み合わせた新しい塗膜除去技術を開発した。これにより、再生材の塗膜除去率を大幅に高めることができ、強度・品質とも高い要件が求められる通常の塗装バンパーへの再生利用(バンパー・トゥ・バンパー・リサイクル)を可能とした。


バンパー再生材を使用した新車用バンパー

 今回開発した技術は、従来の機械式の塗膜除去工程の後に、穀物中の不純物を除去する光学選別機の技術を組み合わせたもの。塗膜除去工程を行った後の再生ペレット(バンパーを細かく粉砕したもの)を選別工程にかけ、塗膜が除去しきれていないペレットを光学センサーにより検知・選別して取り除く。再生ペレットの形状は穀物に比べると偏平で大きさもばらつきがあるため、あらかじめペレットをサイズごとに選別する工程を設けて選別精度を向上させた。これにより、塗膜除去率を従来の99%から99.9%程度にまで高めることを可能とした。また、選別工程で塗膜除去が不十分なペレットを取り除けるため、塗膜除去工程にかける時間が短縮でき、プロセス全体にかかる時間も従来の約2/3に短縮することができた。

 マツダは、1992年からディーラーを通して損傷バンパー(破損・損傷などの修理で交換されたバンパー)を回収し、アンダーカバー等への再生利用を開始した。2001年にはプラスチック再生メーカーの高瀬合成化学株式会社※2が保有する機械式の塗膜除去技術を活用し、バンパー再生材を新材と同等レベルの強度に高め、バンパー補強用部品への再利用を開始した。さらに2002年には、塗膜除去条件を最適化し、塗膜除去率を従来の98%から99%程度まで向上させ、2003年7月からMPVのバンパー(表面に凹凸模様のあるもの)への再生利用を開始するなど、バンパー再生材の利用を拡大してきた。

 今回開発した新しい塗膜除去プロセスにより、99.9%という高い塗膜除去率の再生材を得ることができる。これにより、従来の品質レベルでは採用が難しかった表面に凹凸のない通常の塗装バンパーへの再生利用が可能となるため、今後の再生材の利用用途の拡大につながる。マツダでは量産に向けた実証試験を行い、2004年中に本技術を導入し、再生材をバンパーに20~30%(重量比)程度混入して利用していく計画である。今後の自動車リサイクル率の向上のために材料リサイクル技術の重要度が高まっていくと考えられるが、マツダでは本技術をその基盤になるものと考えており、継続的な技術開発を行っていく。

※1 株式会社サタケ(広島県東広島市西条西本町2-30 代表:佐竹 利子氏)
※2 高瀬合成化学株式会社(広島県賀茂郡河内町河戸743 代表:高瀬 岳雄氏)

close