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マツダ(株)、新型エンジンの機械加工ラインで環境への負荷を軽減−「セミドライ加工」採用により機械加工時の切削液の使用量を大幅削減− |
マツダ(株)は、部品の切削加工の際に必要な切削液の使用量を大幅に削減した「セミドライ加工」を実用化し、新開発のオールアルミ製直列4気筒エンジン「MZR1.3/1.5」の機械加工ラインに採用した。
この「セミドライ加工」を「MZR 1.3/1.5」エンジンのアルミ製シリンダーブロック機械加工ラインのほぼ全工程(シリンダーボアの仕上げボーリングおよび研磨(ホーニング)工程は除く)に採用し、切削液の使用量を従来工法から84%削減した。これにより、従来工法と同等の生産性と製造品質を確保しながら、 「セミドライ加工」は、工程数の少ない小型部品加工やライン内の一部工程に採用された例はこれまでもあるが、シリンダーブロック機械加工のような工程数が多いラインでほぼ全工程に採用したのは自動車メーカーでは当社が世界で初めてとなる。また、一動作で複数個所の加工が可能な多軸構造の「トランスファー加工機」への実用化についても世界初である。 切削液には、潤滑・冷却・切り屑処理の3つの機能がある。従来の工法では、1ステーション(1回の加工)につき毎分約200リットルの切削液を吐出させて、これらの機能を実現していた。これに対して「セミドライ加工」では、刃具の先端から1箇所当たり毎分約0.1ccという微量の切削液を噴霧して潤滑しながら加工を行う。シリンダーブロックの機械加工ライン全体では、50以上のステーションがあるため、切削液の総使用量を極めて大幅に削減することができた。 また従来は、治具(鉄)と部品(アルミ)の温度変化時の伸縮差が加工品質上の問題となるため、切削液による冷却が必要であったが、今回は治具をアルミ化すること等で伸縮差を無くしたため、それが必要なくなった。切り屑処理では、切り屑がたまりにくい治具形状とするとともに、各ステーション上方に設置したタンクから重力の勢いを利用して洗浄液で洗い流す方法を採用した。更に、加工設備自体の潤滑や作動に使う油についても、従来は切削液とは異なる成分だったが、今回「セミドライ加工」用の切削液と共通化することで、回収後の再利用を可能とした。 マツダでは、今後この「セミドライ加工」方式をエンジン以外の部品の機械加工にも展開していく予定である。 なお、本「セミドライ工法」を採用した新開発エンジン「MZR 1.3/1.5」は、今夏発売予定の新型コンパクトカーに搭載予定である。 |