マツダ(株)、新世代モジュール基材用の
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マツダ(株)は、この程、モジュール部品を組み付ける基材(モジュールキャリア)用のボディ構造材としてポリプロピレンの新素材を開発するとともに、高強度を実現するガラス繊維複合材の射出成形法を新たに開発した。これにより、モジュールとして従来難しかった多くの部品の一体化による先進的な機能統合が容易になるとともに、コスト・重量の大幅な低減が可能となった。 この度開発した新素材と技術は、同社の次世代商品群の第一弾として来年導入する新型ミッドサイズカー「アテンザ(海外名:Mazda 6)」のフロント部やドアのモジュール用キャリアに採用され、その後、順次適用車種、適用範囲を拡大していく。 従来、モジュールキャリアは、高い強度が要求されることから、主にガラスマット強化ポリプロピレンやスチール製プレス部品が採用されてきた。しかしながら、ガラスマット強化ポリプロピレンは、プレス成形のため、部品の効率的な一体化と剛性・強度の確保を両立させることが難しく、さらに成形品に発生するバリを除去するための後加工が必要となるなど、重量、コストの大幅低減は困難であった。また、スチールは複雑な形状の成形が難しいためモジュールとして多くの部品を統合することに限界があり、コスト低減にも繋がらなかった。このようなニーズに合ったモジュールキャリアを作るには、プレス成形に比べて成形自由度が高く後加工を必要としない「射出成形」が好ましいが、一方で、射出成形工程中に補強材として用いるガラス繊維が損傷し強度が著しく低下するため、これまでボディ構造材として採用された例はなかった。 マツダは、射出成形工程中のガラス繊維の折損を抑制するため、母材であるポリプロピレン樹脂を超低粘度化することでガラス繊維にかかる圧力を低減するとともに、新しい高結晶性のポリプロピレンと複合することで射出成形品の強度を高めた。さらに、大型樹脂部品の成形にも適合するよう、射出成形工程中に圧力がガラス繊維にかかりにくい射出成形技術を開発した。これらを組み合せることで、従来に比べて10倍以上長いガラス繊維を残して成形することが可能となり、射出成形品の強度を約3倍に高め、必要な耐熱性も確保した。以上により、ガラスマット強化ポリプロピレン製プレス成形品やスチールプレス部品と同等の強度を有するモジュールキャリアの開発に成功した。
■本技術の主な特徴と効果は以下の通り。
マツダでは今後、この新技術を新世代プラットフォームを採用する新型車・派生車の機能統合型モジュールへの共通展開を図り、商品力やコスト競合力の強化を更に進めていく予定である。 |