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第1639号 2001年2月13日

マツダ(株)、燃料電池自動車「プレマシー FC-EV」を開発

−経済産業省の支援により、燃料電池自動車として国内で初めての公道走行試験を開始−

マツダ(株)は、小型乗用車プレマシーをベースにした燃料電池自動車「プレマシー FC-EV」を開発した。マツダは、国土交通大臣から認可を受け、本車両を使って燃料電池自動車として国内で初めてとなる公道走行試験を今月15日から開始する。


燃料電池自動車 「プレマシー FC-EV」

 「プレマシー FC-EV」は、5人乗りでメタノール改質方式の燃料電池と電気モーターを搭載している。燃料電池スタックや改質装置など全てのユニットを小型化して床下に収める工夫により、ベース車の基本パッケージを変えること無く、5人がゆったりと乗れる実用性の高い室内空間の実現に成功している。燃料電池への水素供給については様々な方式を検討しているが、今回の車両ではメタノール改質方式燃料電池の可能性について研究を行うものである。

 「プレマシー FC-EV」は、国土交通省の大臣認定を受けてナンバープレートを取得し、燃料電池自動車としては国内では初めて公道を走行することが可能となった。マツダは、この「プレマシー FC-EV」を使用して、日石三菱株式会社およびダイムラー・クライスラー日本ホールディング株式会社と共同で実施する、燃料電池自動車の走行試験プロジェクトに参加する。本プロジェクトは、経済産業省・資源エネルギー庁および財団法人石油産業活性化センターの支援を受けて行われるもので、燃料電池自動車の走行性能、燃費、排出ガスなどについて調査する計画である。走行試験は神奈川県横浜市周辺の公道および施設を使って開始する予定である。なお、燃料のメタノールの供給は、日石三菱精製株式会社・横浜精油所で行う。

 マツダは、将来の代替燃料車の有力候補の一つとして、1991年に燃料電池の基礎研究を開始した。1992年初めには、バラード社製固体高分子型燃料電池を搭載したカート型燃料電池車を製作した。1997年11月には水素を燃料とした高性能な燃料電池システムを独自に開発し、「デミオ FC-EV」を完成させた。同年12月には、この車両を使って社内での走行試験を実施した。また1999年10月には、下記の燃料電池アライアンス開発による燃料電池システムを搭載した「デミオ FC-EV」の2号車を開発した。今回開発した「プレマシーFC-EV」にも、マツダがこれらの研究を通じて蓄積してきた重要な経験が活かされている。

 マツダは、フォード・グループと協力して燃料電池の技術開発を行っている。1998年4月には、フォード社、ダイムラークライスラー社、バラード社による燃料電池開発のためのアライアンスに、フォードとの緊密な関係を通じて参加している。今回の「プレマシーFC-EV」の開発は、フォードのTH!NK(シンク)(注)グループと協力して行った。

 (注)TH!NKは、代替燃料車の開発・生産・販売を専門とするフォード・グループの1ブランド。上記燃料電池アライアンスにはフォードを代表して参加している。




「プレマシー FC-EV」の主要諸元は次の通り。

車両
ベース車 マツダ・プレマシー
ボディ形状 5ドア
全長 4,350 mm
全幅 1,695 mm
全高 1,605 mm
ホイールベース 2,670 mm
車両重量 1,850 kg
燃料 メタノール
     
パワーユニット(燃料電池)  
形式 固体高分子型燃料電池(PEM)

電動モーター
形式 交流誘導式
最高出力 65 kW(88 ps)



<ご参考>
■ マツダのFC-EV開発の取組み

・1991年 バラード社から燃料電池のリース(貸与)を受け、基礎研究を開始。
・1992年7月 バラード社製の燃料電池と水素吸蔵合金タンクを搭載した、走行可能な小型のカート型車両を開発した。
・1997年10月 燃料電池本体の高出力化に取組み、電極や触媒などに独自の開発成果を加えることにより、自社開発の燃料電池システムを開発。
・1997年12月 上記の自社開発による燃料電池システムと水素吸蔵合金タンクを搭載した、「デミオFC-EV」を開発。社内での走行試験を実施。
・1998年4月 フォード社、ダイムラー・クライスラー社およびバラード社による燃料電池開発のためのアライアンスに、フォードとの緊密な関係を通じて参加。
・1999年10月 上記アライアンスで開発した燃料電池システムと水素吸蔵合金タンクを搭載した、「デミオ FC-EV」2号車を開発。1号車よりもシステム全体の容積を20%コンパクト化。


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