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<ご参考>1998年6月9日

連続位相可変バルブタイミング機構付き1.5リットルエンジンを開発

−-出力・トルクの向上と、低燃費化、排出ガスのクリーン化を実現-−

マツダ(株)は、出力・トルクの向上と、燃費およびCO2、NOx排出量の低減を高次元で両立した 連続位相可変バルブタイミング機構「S-VT(Sequential Valve Timing)」付き1.5リットルDOHCエン ジンを開発し、7月1日より発売する新型ファミリアに搭載する。

今回開発した「S-VT」エンジンは、吸気バルブの開閉タイミングを連続的に変化させて、市 街地走行から高速走行まで、あらゆる運転条件に応じた最適なバルブタイミングを実現している。

カムシャフトにクランクシャフトの回転を伝えるために、各シャフトの前端にはプーリーが取り 付けられ、タイミングベルトで繋がれている。一般的なエンジンでは、プーリーがカムシャフトに 直接固定されているため、決められたバルブタイミングしか得られなかった。

これに対し「S-VT」エンジンでは、吸気カムシャフトのプーリー部に取り付けたベーン式ア クチュエーターを用いることによって、バルブタイミングの連続可変制御を実現した。ベーン式 アクチュエーターは、プーリーに固定されたハウジングと、カムシャフトに固定されたベーンと で構成され、ハウジングとベーンとの間に進角室と遅角室の2系統の油圧室を設けている。これ らの油圧室に加える油圧を、OCV(オイルコントロールバルブ)で制御することにより、プー リーとカムシャフトとの相対位相を変化させ、吸気バルブタイミングをコントロールすることが 可能となった。また、OCVは、コンピューターによって、エンジン回転数や吸気量、エンジン 水温などを検出し、あらゆる運転条件において最適なバルブタイミングを制御することができる。

これらの機能の働きにより、「S-VT」は以下の4つの効果を発揮する。

(1)高負荷・低中速回転域では、吸気バルブを早く閉じることにより吸気の逆流を抑えられる ため、燃焼室内の空気の体積効率(充填効率)が向上し、トルクが向上する。
(2)高負荷・高速回転域では、吸気バルブを遅く閉じることにより吸気の慣性効果を最大限に 利用できるため、充填効率が向上し、最高出力が向上する。
(3)中負荷領域では、吸気バルブが開くタイミングを早くすることにより、オーバーラップ (吸気バルブと排気バルブが同時に開いている状態)を拡大している。これにより、排 出ガス環流(内部EGR)の量が増大するため、ポンピングロスが減少し、燃費および CO2排出量が低減(ダイリューテッドバーン効果)する。
(4)内部EGRの効果により、不活性ガスがシリンダー内に再吸入されることで燃焼温度が下 がり、NOx排出量が低減する。

なお、「S-VT」は、複雑な機構を必要としないシンプルなシステムを採用しており、信頼性 やコストパフォーマンスにも優れている。

■「S-VT」エンジン性能
型式ZL-VE型
最高出力130ps/7,000rpm
最大トルク14.4kg-m/4,000rpm
■新型ファミリア・「S-VT」効果
最高出力向上13%
燃費、CO2低減16%
NOx低減14%
(※従来型ファミリアセダン
B5-ZE型エンジン搭載・4速AT車との比較)
以  上

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