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第1535号1998年6月9日

新型ファミリアを発売

−新しい機能と価値を備えた、新ジャンルワゴン&セダン−

マツダ(株)は本日、新型の小型乗用車「ファミリア」を発表した。全国のマツダ系およびマツダアンフィニ系、マツダオートザム系販売店を通じて販売を行う。

ファミリアは、1963年10月に初代が登場して以来、日本のモータリゼーションの一翼を担うとともに、世界120カ国以上のお客様に支持されてきた。さらに、1995年12月には国内生産累計が1,000万台を突破するなど、名実ともにマツダの基幹車種として成長してきた。

今回のフルモデルチェンジでは、マツダならではの価値と個性を追求するために、(1)際立つ個性、(2)扱い易さ、運転のしやすさと楽しさ、(3)パッケージイノベーション、という3つの領域に焦点を当てて開発に取り組んだ。その具現化のため、9代目となる新型ファミリアには、高い運動性能を持つコンパクトカーでありながらステーションワゴンの持つ多用途性を兼ね備えた、新ジャンルの「S-ワゴン」(※1)と、求められる機能を合理的なパッケージの中に凝縮させた「セダン」の2つのボディタイプを用意した。これによりファミリアシリーズは、継続販売をする「3ドアハッチバック」、「ワゴン」を合わせ4つのボディタイプとなり、より多様化するお客様のニーズに対応できるようにした。

新型ファミリアは、以下の5点を主な特長としている。

1 取り回しの容易なコンパクトなボディサイズに、クラストップレベルの室内空間とラゲッジスペースを確保した、高効率パッケージ
2 乗る人の数や荷物の量などに応じてフレキシブルに使える多彩なシートアレンジ機能や、豊富な収納スペースによる、優れたユーティリティ
3 力強く、安定感のあるエクステリアと、心地良く、開放感のあるインテリアを実現した機能的でダイナミックなデザイン
4 高出力と低燃費とを両立した新開発の連続位相可変バルブタイミング機構付きエンジンや、シフトショックを大幅に低減したオートマチックトランスアクスル、卓越したシャシー性能がもたらす、キビキビとした走りと、快適な乗り心地との両立
5 高剛性・安全ボディ「MAGMA」(※2)や、頭部保護機能付きSRS(※3)サイドエアバッグシステムなどの採用による、世界最高水準の安全性。
これらの機能や装備を盛り込みながら価格を抑え、バリューフォーマネーに優れた商品とした。
月間販売台数は、S-ワゴン、セダンを合わせて5,000台を計画している。

(※1) 「S-ワゴン」:「Sporty」「Stylish」「Short」という3つのキーワードの頭文字「S」をとって命名したもの。
(※2) 「MAGMA」:Mazda Geometric Motion Absorption (マツダの全方向衝撃吸収構造ボディ)
(※3) SRS:Supplemental Restraint System (乗員保護補助装置)
PHOT WAGON PHOT SEDAN
S-ワゴン R 1500 DOHC「S-VT」セダン LS 1500 DOHC

■新型ファミリアの商品概要は以下の通り。

【高効率パッケージ】
取り回し性を向上させるために従来モデルよりも全長を短くしながら、ロングホイールベースを採用するとともに、エンジン長を抑えることによって、クラストップレベル の室内空間とラゲッジスペースを実現した。運転席は高めのヒップポイントにより、良好な視界を確保するとともに、乗降時の腰の移動量が少なくなり、楽に乗り降りすることができる。後席は前席とのヒップポイント高差をセダンでは25mm、S-ワゴンではさらに35mm高くし、後席の乗員にも開放感と良好な乗降性を実現した。

<S-ワゴン>
S-ワゴンのボディサイズは、全長4,200mm、全幅1,695mm、全高1,420mm(4WD車は1,435mm)である。セダンよりユーティリティ性を高めるために、ルーフ後端を延長したステーションワゴンタイプのボディを採用して室内空間を拡大している。そのうえで、軽快な走りとスポーティなエクステリアデザインを実現するために、全長はセダンより115mm短くしている。ラゲッジスペースは、後席に160mm(4WD車は120mm)のシートスライド機能を採用することにより、最大で366リットルのラゲッジスペース容量を実現した。

<セダン>
セダンのボディサイズは、全長4,315mm(ディーゼル車は4,330mm)、全幅1,695mm、全高1,410mm(4WD車は1,430mm)で、取り回し性を高めるために全長は従来モデルより20mm短くした。トランクルームは、運転席のヒップポイントを高めにしたことによって、十分な後方視界を確保しながらリアデッキの位置を高くし、416リットル(いずれもVDA)の大容量を確保した。

【優れたユーティリティ】
卓越したスペース効率によって実現した広い室内空間を有効に活用するために、多彩なシートアレンジ機能を備えた。また、日常ユースでよく使う小物の収納スペースを、運転席まわりを中心に充実させた。

(1)多彩なシートアレンジ機能
<S-ワゴン>
後席の乗員が自由で快適な乗車姿勢をとれるように、S-ワゴンの後席には、シートスライド機能と左右独立リクライニング機能を備えた。さらに、5:5分割可倒、ダブルフォールディング、5:5分割デタッチャブルシートクッションの各機能を備え、荷物の量や乗車人数に応じて多彩な空間アレンジを実現した。また、RとR-4の運転席と助手席には、シートバックを前方向へ水平に倒すことができるスペースアップシートを採用した。後席の可倒機能との組み合わせにより、約2.4mの長尺物の収納を可能にした。スペースアップシートのシートバック裏面には、樹脂製のパネルを装備しており、テーブルとしても使用できる。
<セダン>
LS、GS、RXの後席に6:4分割可倒機能を備えた。さらに、RXの助手席には、スペースアップシートを採用しており、後席の可倒機能との組み合わせにより、約2.5mの長尺物の積み込みが可能である。

(2)豊富な収納スペース
<S-ワゴン&セダン>
室内には、インストルメントパネル部に、A4サイズの物を収納できる大容量のグローブボックスをはじめ、CD7枚が収納可能なインパネアンダースペース、携帯電話やサングラスの収納に便利なインパネサイドポケット、折りたたみ式のカップホルダー(2個分)を設けている。また、セダンのGSにCD8枚が収納可能なセンターコンソールボックスを、その他の機種には、1.5リットルのペットボトルも入る大型のセンターコンソールトレイを装備した。さらに、大判の地図が収納できるフロントドアポケットを全車に、リアドアポケットをS-ワゴンに装備した。
S-ワゴンのラゲッジスペースには、床下にサブトランクボックス、床面のコーナー4ヶ所にラゲッジフックを設けている。

【機能的でダイナミックなデザイン】
新型ファミリアは、マツダの新しいデザインテーマ「コントラスト イン ハーモニー」に基づいてデザインした初めてのクルマである。独立型のフロントグリルと異型ヘッドランプで構成される新しいファミリーフェイスや、力強く、安定感のある面構成などの採用により、機能と見栄えを高い次元で両立させた。

(1) エクステリア
<S-ワゴン>
S-ワゴンは、「ダイナミック&スポーティ」をテーマにデザインした。内側に倒したDピラーや張り出したフェンダーアーチライン、ワイドトレッドにより、力強く、安定感のある造形としている。また、後方にかけて緩やかに下降するルーフライン、やや上向きに切れ上がったリアバンパーライン、逆五角形のリアウインドーなどにより、スポーティ感を高めている。
<セダン>
セダンは、「ダイナミック&フォーマリティ」をテーマにデザインした。S-ワゴンと同様に、張り出したフェンダーアーチラインやワイドトレッドにより、力強く、安定感のある造形とするとともに、太めのCピラーやウェッジの効いたサイドビューなどにより、落ち着き感のあるスタイリングとした。

(2) インテリア
<S-ワゴン&セダン>
インストルメントパネルをセンター部分にふくらみを持たせた抑揚ある造形としたほか、ドアトリム部の布部分の面積を拡大するなど、快適性と上質感を高めている。また、使用頻度の高いオーディオをセンターパネル上部に設けることで、操作時の視線移動を少なくし、走行中の安全性を高めている。

【キビキビとした走りと、快適な乗り心地との両立】
クルマ本来の魅力である「走る楽しさ」を追求し、高出力と低燃費とを両立したエンジンや、シフトショックを大幅に低減したオートマチックトランスアクスルを新開発した。さらに、操縦安定性と乗り心地とを高次元でバランスさせたサスペンションの開発や、振動・騒音の低減にも取り組んだ。

(1)エンジン
新型ファミリアには、4タイプのガソリンエンジンと、1タイプのディーゼルエンジンを設定した。新開発の連続位相可変バルブタイミング機構「S-VT」付き1.5リットルDOHCエンジンは、吸気バルブの開閉タイミングを連続的に変えることにより、市街地走行から高速走行まで、あらゆる運転領域でバルブタイミングを最適に制御することができる。その結果、出力・トルクの向上と、燃費およびCO2、NOX排出量の低減を実現している。

エンジン 最高出力(ネット) 最大トルク(ネット)
1.8リットル DOHC(FP-DE型) 135ps/6,200rpm 16.5kg-m/4,500rpm
1.5リットル DOHC「S-VT」(ZL-VE型) 130ps/7,000rpm 14.4kg-m/4,000rpm
1.5リットル DOHC(ZL-DE型) 110ps/6,000rpm 14.0kg-m/4,000rpm
1.3リットル SOHC(B3-ME型) 85ps/6,000rpm 11.2kg-m/4,000rpm
2.0リットル ディーゼル(RF型) 70ps/4,650rpm 13.2kg-m/2,500rpm

(2) トランスアクスル
トランスアクスルは、駆動方式に合わせて2タイプの電子制御4速オートマチック(4EC-AT)と、2タイプの5速マニュアルを設定した。FF車に組み合わされる新開発の4EC-ATは、緻密な変速制御を可能にする「DESC(Direct Electronic Shift Control)」を新たに採用して変速時のシフトショックを大幅に低減するなど、クラストップレベルのシフトクオリティを実現している。

(3)4WDシステム
1.8リットルエンジンを搭載するS-ワゴンのR-4には、常時4輪に駆動力を与えるビスカスLSD付きフルタイム4WDシステムを採用した。1.5リットルエンジンを搭載するS-ワゴンのS-4およびセダンのLSには、通常は前輪駆動で走行し、前後輪に回転差が発生した場合に後輪にも駆動力を伝える、ロータリーブレードカップリング式リアルタイム4WDシステムを採用した。

(4) ボディ
ボディは、全体剛性を高めたうえでサスペンション取り付け部の局部剛性を高めている。これにより、サスペンションの性能を十分に引き出すとともに、振動や騒音の抑制、乗り心地の向上を実現している。

(5) シャシー
サスペンションの前後ロールセンター高の最適化により、コーナリング性能や直進安定性、ステアリングフィールを向上させた。また、ワインディングロードでの操縦安定性を確保しながら、路面からの入力をしっかりと吸収して乗り心地を向上させる、新開発の微低速バルブ付きダンパーを4輪に採用した。

【世界最高水準の安全性】
事故を未然に防ぐアクティブセーフティと、万一の事故の際にも乗員が受ける衝撃を最小限に抑えるパッシブセーフティの両面で、卓越した安全性を実現した。

(1)アクティブセーフティ

maru 高めのドライビングポジションにより、良好な視界を提供するとともに、長時間のドライブでも疲労を抑え、安全性の高い運転環境を実現している。
maru 高い操縦安定性を発揮するサスペンションや、信頼性の高いブレーキシステムなどによって、優れた走行安全性を実現した。
maru 4W-ABS(4輪アンチロックブレーキシステム)を全車に標準装備した。さらに、フルタイム式とリアルタイム式の2つの4WDシステムを用意しており、悪条件下においても走行および制動の安定性が向上し、優れた危険回避能力を発揮する。
maru Aピラーのレインガーターモールと、雨水コントロールドアミラーの採用により、サイドウインドーおよびドアミラー鏡面への雨水の付着を抑制し、雨天時の視認性を向上させている。

(2)パッシブセーフティ

maru 高剛性・安全ボディ「MAGMA」
高剛性・安全ボディ「MAGMA」は、前後からの衝突エネルギーを効率よく吸収・分散させるクラッシャブルゾーンと、側面衝突や横転、転覆の際でも乗員の生存空間を確保する「トリプルH」構造を採用した強固なキャビンで構成される。このボディの採用により、国内の新側面衝突安全基準に適合させ認可を取得するとともに、今秋実施予定の欧州の新衝突安全基準(オフセット前面衝突、側面衝突)へも対応している。
maru サイドインパクトバー&リアドアキャッチャーピン
フロントとリアのドア内部にサイドインパクトバーを、さらにリアドアにキャッチャーピンを装備することにより、側面衝突の際、ドアの構造物が室内に侵入するのを最小限に抑える。
maru 運転席&助手席SRSエアバッグシステム
運転席&助手席SRSエアバッグシステムを全車に採用した(セダンESの助手席はオプション、その他は標準)。
maru 頭部保護機能付きSRSサイドエアバッグシステム
頭部保護機能付きSRSサイドエアバッグシステムを、運転席および助手席に装備した(セダンESを除く全車にオプション)。側面衝突時に頭部がサイドウインドーやBピラーなどに直接当たって大きなダメージを受けないように、エアバッグが開いた状態で上体側面から頭部までを保護する形状としている。また、サイドエアバッグはシート背もたれのドア側の面に内蔵しており、シート位置を問わず乗員に対して最適な位置で展開する。
maru ロードリミッター付きシートベルト
前席に、ロードリミッター機能付きの3点式ELRシートベルトを採用した(運転席は全車、助手席はSRSエアバッグシステム装着車)。乗員を拘束後、シートベルトに一定以上の荷重がかかると拘束力を設定値内に維持し、過剰荷重による負傷を抑える。
maru チャイルドシート固定機構付きリアシートベルト
後席外側の3点式シートベルトに、チャイルドシート固定機構を採用した。シートベルトのたるみを解消し、確実に固定することができる。
maru 衝撃吸収インテリア
室内の要所に、乗員の頭部や身体が当たった時の衝撃を緩和する衝撃吸収インテリアを採用した。インストルメントパネルとフロントドアトリムの一部には衝撃吸収材を配置し、AピラーとBピラートリムの裏面には、リブ構造を採用した。
maru 自動反転機能付きパワーウインドー
運転席のパワーウインドーに、自動反転機能を採用した。オートクローズ中に手などの挟み込みを感知すると、自動的にウインドーガラスが約200mm下降して停止する。

【その他の主な装備】

maru オートエアコンをS-ワゴンのRとR-4、セダンのGSとRXに標準装備した。また、マニュアルエアコンをS-ワゴンのSとS-4、セダンのJSとLSに標準装備した(セダンのESにはオプション)。
maru UVカットガラスを、S-ワゴンのフロントドア、セダンのフロントドアとリアドア、バックウインドーに装備した(S-ワゴンは全車、セダンはESを除く全車)。
maru ダークティンテッドガラスを、S-ワゴンのリアドアとリアクォーター、リアゲートに装備した(RとR-4に標準、SとS-4にオプション)。
maru チルトアップ機構付き電動ガラスサンルーフをオプション設定した(S-ワゴンのRとR-4、セダンのRX)。
maru ナビゲーションシステムとAVシステム(FM/AM電子チューナー、カセットデッキ、CDデッキ)を一体化した「AVナビゲーションシステム」をオプション設定した(S-ワゴンの全車、セダンのGSとRX)。
maru FM/AM電子チューナー付きフルロジックカセットデッキをS-ワゴンの全車、セダンのLSとGSにオプション設定した。また、FM/AM電子チューナーをセダンのLSとGSに標準装備、ESとJSにオプション設定した。
maru エアバッグを内蔵した、NARDI社製本革巻きステアリングホイールをオプション設定した(S-ワゴンのRとR-4、セダンのRX)。
■幅広い顧客ニーズに応える豊富なバリエーション)
今回のS-ワゴン、セダンの発売によってファミリアシリーズは、従来から販売している3ドアハッチバック、ワゴンと合わせて計4つのボディタイプとなり、近年ますます多様化するお客様のライフスタイル、ニーズに応えることができる一層豊富なバリエーションとなった。

■車両本体の希望小売り価格は以下の通り。(消費税を含まず)

(S-ワゴン)(単位:千円)
駆動 エンジン グレード 変速機 東京・名古屋
大阪・広島・山口
札幌 仙台・福岡
FF 1500 DOHC S 5MT 1,394 1,444 1,414
4EC-AT 1,469 1,519 1,489
1500 DOHC
「S-VT」
R 5MT 1,585 1,635 1,605
4EC-AT 1,660 1,710 1,680
4WD 1500 DOHC S-4 5MT 1,585 1,635 1,605
4EC-AT 1,660 1,710 1,680
1800 DOHC R-4 5MT 1,789 1,839 1,809
4EC-AT 1,864 1,914 1,884


(セダン)(単位:千円)
駆動 エンジン グレード 変速機 東京・名古屋
広島・大阪
札幌 仙台・福岡 山口
FF 1300 SOHC ES 5MT 991 1,041 1,011 1,001
4EC-AT 1,066 1,116 1,086 1,076
JS 5MT 1,188 1,238 1,208 1,198
4EC-AT 1,263 1,313 1,283 1,273
1500 DOHC LS 5MT 1,309 1,359 1,329 1,319
4EC-AT 1,384 1,434 1,404 1,394
1500 DOHC
「S-VT」
GS 5MT 1,507 1,557 1,527 1,517
4EC-AT 1,582 1,632 1,602 1,592
RX 5MT 1,503 1,553 1,523 1,513
4EC-AT 1,578 1,628 1,598 1,588
2000ディーゼル LS 5MT 1,390 1,440 1,410 1,400
4EC-AT 1,465 1,515 1,485 1,475
4WD 1500 DOHC LS 5MT 1,554 1,604 1,574 1,564
4EC-AT 1,629 1,679 1,649 1,639
セダンESは、 エアコン、助手席エアバッグ非装着車。エアコン&助手席エアバッグ装着車は、201千円高。
S-ワゴン、セダンともに全車寒冷地仕様車。
頭部保護機能付きSRSサイドエアバッグのメーカーオプション価格は、30千円(セダンのESを除く全車)。
チルトアップ機構付きガラスサンルーフのオプション価格は80千円(S-ワゴンのR、R-4およびセダンのRX)。
☆印は、写真掲載機種。
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