第1526号 | 1998年3月27日 |
「マツダデジタルイノベーション」のフェーズⅡを開始
マツダ(株)は、1998年4月より、新車の企画から開発・量産準備・購買・生産までの全プロセスに渡ってデジタル革新を行なう「マツダデジタルイノベーション(MDI)」計画※フェーズⅡを開始する。
フェーズⅡでは、1999年春からMDI支援システムの中核をなす三次元CADシステムを、従来の「New-GNC」と「I-DEAS-MS」との併用から、「I-DEAS-MS」に一本化して車両の開発を行なう。
これにより、複数のコアシステムを運用することによる非効率を排除するとともに、「I-DEAS-MS」をCAE/CAMと一体にした優れた設計支援ツールとして開発全領域に活用する体制を国内他社よりいち早く整える。さらに、同システムの導入により設計のイテレーション(繰り返し設計)や解析機能の強化を図る。以上により、同社は設計のレベルアップと期間短縮を一段と進めていく。
フェーズⅡでの総投資額は55億円を予定しており、内訳はワークステーションの増強や、システムトレーニングの拡大などである。なお、フェーズⅠの180億円を加えたMDI計画の累計投資額は235億円となる。
また同社は、このほどフェーズⅠで計画していた試作・実験・生産領域の各種設備の導入を終え、4月から稼動させる。
同社は、試作工場に、型具及び試作部品の製作期間短縮とコスト削減を目的として、世界最新鋭の牧野フライス社製超高速高精度マシニングセンター6台を導入した。
また、試作工場及び宇品・防府工場に、試作車やパイロット車、量産車の車両・部品などを3次元で測定するドイツ・カールツアイス社製高精度大型3次元測定機を5台導入し、高い品質の実現を目指す。
さらに実験部門には、実験期間の短縮と車両の耐久性向上を目的として、車体の強度・耐久性の開発に使用する多軸ロードシミュレーター、多軸シミュレーション・テーブルなど3台の実験装置を導入した。この実験装置はMTSシステムズ社(米国、ミネソタ州)から導入したもので、実車走行試験と同等の結果が実験室内で短期間に得られるとともに、実験解析データの精度アップを図ることができる。
マツダは今後もMDIによる先進的な実験装置の導入により、実車走行実験のラボ化(実験室内での走行実験)を進めていく。これにより、実験期間を短縮するだけでなく、得られたデジタルデータを社内のネットワークを通じて設計・CAEにフィードバックして開発の効率化と技術のレベルアップを図って行く。
<注釈>
※マツダ(株)が、1996年末から導入を開始した「デジタル革新」計画。新車の企画から開発・量産準備・購買・生産までの全プロセスと業務を抜本的に見直し、最先端のインフォメーションテクノロジーと設備を使って、全領域に渡るデジタル革新を行なうもの。これは、同社が21世紀の製造業としてのあるべき姿を構築しようとするもので、今後ますます競争が激しくなる世界の自動車産業の中で企業競争力の優位性を狙っている。
以 上