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第1525号 1998年3月17日

マツダ(株)、新しい三元触媒を開発

−排出ガス中の有害成分をさらに低減−

マツダ(株)は、排出ガスに含まれる有害成分を、従来型と比較してさらに低減できる新しいガソリンエンジン用三元触媒を開発した。

排出ガス中に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)は、排気管の途中に装着した触媒が、ある一定の温度(活性開始温度:約摂氏250~300度)に達して初めて浄化される。従って、地球環境保全に応えるため排出ガスをより一層浄化するには、エンジン始動直後、触媒が活性開始温度に達するまで未浄化のまま排出される有害成分を低減することが重要となる。

従来の触媒は、より早く活性開始温度に達するように、排気管の中で排出ガス温度が最も高いエンジン側にできるだけ近づけて装着していた。しかし、高速走行などエンジンに非常に高い負荷がかかる場合には、触媒の温度が耐熱温度を上回り、熱による劣化が生じる。そのため、エンジンの高負荷時には、エンジンの燃焼室に噴射する燃料を増やして排出ガス温度を低下させていた。従って、触媒には、より低い温度から活性を開始する性能と、より高い温度でも劣化しない性能の両立が求められている。

今回開発した三元触媒は、浄化反応を行うために配合される白金、ロジウム、パラジウムという3種の活性貴金属を、低温での浄化性能を高めるパラジウムの比率を高めた独自の比率で配合した結果、従来の触媒に比べ70度低い温度からの浄化を可能にした。さらに、高温でも劣化しにくい熱安定化材料を開発し、貴金属を付着(担持)させる基材に使用することにより耐熱性を向上させた。

新しい三元触媒の特長は以下の通り。

  1. 従来の触媒に比べ、活性開始温度が約70度低下したことにより、従来の触媒が浄化しなかった冷間時に排出される有害成分HC、CO、
    NOxを半減することが可能となった。
  2. 従来の触媒より約100度高温でも浄化性能を維持できる高耐熱性を実現したことにより、従来のように燃料噴射量を増やして排出ガス温度を低下させる必要がなくなった。その結果、ドイツのアウトバーンでの高速走行を想定した平均時速160km走行において、燃費やCO2排出量を約15%低減することが可能となった。
  3. 浄化を開始する温度が低下したことにより、触媒の長さを40%短縮しても優れた浄化性能を有することができるため、排気抵抗が減少し、エンジン性能が向上する。

なお、本技術はエンジン性能の向上を実現しながら、各国で強化される排出ガス規制に適用できる技術であり、今後、順次商品への展開を図っていく予定である。


以上


高性能な三元触媒(カットモデル)
高性能な三元触媒(カットモデル)
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