第1512号 | 1997年10月15日 |
新型「マツダロードスター」と新型「カペラワゴン」などの市販予定車、 「マツダMV−X」などのコンセプトカーを出品
−マツダ(株)、東京モーターショーの出品内容を発表−
マツダ(株)は、10月25日(土)から11月5日(水)まで千葉県幕張市の「幕張メッセ」で開催される第32回東京モーターショーに、計22台の車両を出品するとともに、技術の紹介を行なう。
今回の東京モーターショーでは、「使えるクルマ。楽しいクルマ。That's MAZDA」をテーマに、本年6月に制定した新ブランドシンボルが象徴する、マツダの価値を具現化した車や技術を展示する。
市販予定車では、オープンライトウエイトスポーツカーの「楽しさ」をさらに高めた新型「マツダロードスター」を世界で初めて披露する。さらに、「人間優先の快適空間」と「多彩な空間アレンジ」を実現した新世代のステーションワゴン、新型「カペラワゴン」を出品する。コンセプトカーでは、アウトドアユースからタウンユースまで使えるマルチパーパスビークル「マツダMV−X」、7人乗りのコンパクトスペースワゴン「マツダSW−X」、RVの多用途性を備えたマルチパーパスセダン「マツダMS−X」の3台を出品する。さらに、研究開発中の「直噴成層ガソリンエンジン」と「直噴ディーゼルターボエンジン」、高剛性・安全ボディ「MAGMA(マツダの全方向衝撃吸収構造ボディ)」などの環境や安全をテーマにした技術を展示する。
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新型マツダロードスター
<主な出品物の概要>
1.市販予定車
● 新型マツダロードスター
市販予定車として新型「マツダロードスター」を出品する。オープンライトウエイトスポーツカーとして世界中で高い評価を受けた、初代ロードスターが培った「オープン走行の楽しさ」、「走る楽しさ、操る楽しさ」、「スタイリングを眺める楽しさ」をさらに高い次元で実現している。
- ボディサイズは、全長3,955mm、全幅1,680mm、全高1,235mm、ホイールベース2,265mmで、初代ロードスターと比較すると全幅だけを5mm拡大した。
- 基本レイアウトは、前後の荷重バランスが良好なフロントエンジン・リアドライブのFR方式を継承し、エンジンはフロント車軸より後方に配置した。
- 一見してロードスターとわかるデザインモチーフを継承しつつ、3次元フォルムとした上でスポーティ感を高めたアグレッシブかつダイナミックなスタイリングとした。
- 1.8リットルと1.6リットルの直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載した。両エンジンともに吸排気系の改良によって、出力とトルクを向上させるとともに、スムーズに吹け上がるエンジン特性と優れたアクセルレスポンスを実現している。
- 1.8リットルエンジン搭載車には、エンジンの高回転域での伸びや加速力などの性能をフルに引き出す、6速マニュアルトランスミッションを新たに採用した。
- 従来からの4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションをさらに熟成した。ジオメトリーの見直しとチューニングによって、クルマの安定性を高めながら操る楽しさを増大させている。
- ソフトトップは軽量化するとともに、ファスナーを廃止して開閉操作を容易にした。リアウインドーはデフォッガー付きのガラス製を新たに採用し、後方視界を大幅に改善している。
- 高剛性/安全ボディ「MAGMA」を採用して、衝突安全性を高めた。また、ボディは剛性を高めることで、ねじれや振動の発生を抑制し、優れた操縦安定性に寄与している。
- 運転席&助手席SRSエアバッグシステムを装備したうえで、シートベルトは、一定以上の荷重がかかると拘束力を設定値内に抑えるロードリミッター付きとした。
● 新型カペラワゴン
市販予定車として新型「カペラワゴン」を出品する。乗る人すべてに自由で快適な乗車環境を提供する、「人間優先」思想の新世代ステーションワゴンの創造をめざした。また、荷物の量や乗車人数に応じた多彩な空間アレンジが可能な高いスペースユーティリティ、優れた高速・長距離ツーリング性能、さらに世界最高水準の安全性を実現している。
- ボディサイズは全長4,665mm、全幅1,695mmである。全高は、1,510mm(4WD車は1,525mm)とし、一般的な立体駐車場の利用が可能なサイズとした。ホイールベースをセダンより60mm延長したワゴン専用ボディである。
- 立たせ気味にした着座姿勢と高めの着座位置により、良好な視界や長時間乗っても疲れにくい快適な乗車環境を実現するとともに、乗降性も向上させている。
- 助手席のシートバックが前方向に水平に倒れる「スペースアップシート」、リアシートの左右独立リクライニング機構やシートスライド機構、ダブルフォールディング機構などを採用することで、多彩なシートアレンジメントを実現した。
- ラゲッジスペース容量は、リアシートを最前端までスライドさせると、537リットル(VDA)を確保できる。リアゲートには、手荷物の積み込みなどに便利なガラス部分だけを開閉できるガラスハッチを装備している。
- 2.0リットル直列4気筒DOHC16バルブ「Dバーン(ダイリューテッドバーン:希釈燃焼方式)」エンジンを搭載している。大量の排出ガスを燃焼室へ再循環させることにより、エンジン内部の抵抗を大幅に低減させると同時に燃焼温度を抑えることが可能となり、大幅な燃費向上と、CO2およびNOx排出量低減を実現している。4WD車には2.0リットルハイパワーエンジンを搭載した。
- フロントサスペンションにはマクファーソンストラットを、リアサスペンションには定評のある 「SSサスペンション」を採用し、乗車人数や荷物の重量に左右されない安定した操縦性と快適な乗り心地を実現した。また、4WD車のリアには、荷物によるリアの沈み込みを自動的に検知して車高を調整する、セルフレベリングサスペンションを採用している。
- 衝突エネルギーを効率よく吸収する前後のクラッシャブルゾーンと、強固なキャビンで構成された、高剛性・安全ボディ「MAGMA」を採用した。また、運転席&助手席SRSエアバッグシステムに加え、頭部保護機能付きSRSサイドエアバッグシステムを装備している。さらに、フロントシートベルトは、ロードリミッター&ダイレクトクランプ付きとした。
2.コンセプトカー
今回出品した3台のコンセプトカーのデザインは、新たに設定したマツダのデザインテーマである「コントラスト イン ハーモニー」をもとに開発したものである。
● マツダMV−X
「マツダMV−X」は、アウトドアユースからタウンユースまで使えるマルチパーパスビークルである。人や荷物を運ぶためだけでなく、シート脱着用の電動スライド機構を始めとする従来にない装備と機能を備えた、ユーザーのさまざまなライフスタイルをサポートする新しいミニバンを提案している。
- ボディサイズは全長4,610mm、全幅1,890mm、全高1,725mmで、エンジン排気量は2.5リットルである。
- スタイリングは従来のミニバンと異なり、スポーティでダイナミズムにあふれている。マリンスポーツのスポーツウェアや用具から発想し、内外装ともにブルーを基調とした。
- 水に濡れたまま乗り込むことを想定して、各シートやインパネ、トリム、フロアには防水加工した素材を使用した。
- 全席にキャプテンシートを採用し、2、3列目シートを脱着可能とした。また、室内空間をより幅広く活用するために、2、3列目シートにはロングスライド機構を採用した。
- 2、3列目シート脱着用の電動スライド機構を搭載しており、それを利用した電動ランプウェイ機能によって、ジェットスキーのような重い荷物の積み降ろしも楽にできる。
● マツダSW−X
「マツダSW−X」は、ファミリアクラスのボディサイズでありながら7人乗車が可能で、幅広く活用できる室内空間を備えたコンパクトスペースワゴンである。十分な室内高と平らなフロアをもち、ロングシートスライドなどにより多彩なシートアレンジメントを実現している。
- ボディサイズは全長4,355mm、全幅1,700mm、全高1,700mmで、エンジン排気量は1.8リットルである。
- 張りのあるボディパネルによる力強さと、ボディ各部に配した異なる色の樹脂部品がもたらすコントラストを特徴とするスタイリングとした。
- トーションビーム式リアサスペンションの採用により、運転席の足元からラゲッジスペースまで平らでかつ低いフロアを実現している。また、高い全高ともあいまって、十分な室内高を確保している。1列目シートに2人、2列目に3人、3列目に2人の7人乗りとしている。1列目から3列目までの長いシートスライドレールを等間隔で4本設置した上で、運転席と2列目中央を除く全てのシートを任意の位置に固定できるようにした。また、運転席を除く全てのシートが取り外し可能である。これらによって、乗車人数や荷物の大きさに応じ、室内空間を自由に設定できる。
●マツダMS−X
「マツダMS−X」は、セダンがもつボディスタイル、優れたボディ剛性、走行安定性などの特長に、RVのもつ室内空間の多用途性を組み合わせた、マルチパーパスセダンである。 また、快適で安全な運転をサポートするスマートカードシステムやITS(Intelligent Transport Systems)などの高度な情報技術を採用している。
- ・ボディサイズは全長4,645mm、全幅1,700mm、全高1,530mmで、エンジン排気量は2.0リットルである。2,800mmのロングホイールベースや短い前後のオーバーハング、高い室内高などの優れたパッケージングにより、広く、ラゲッジスペースと区分されたセダンならではの室内空間を実現している。
- ・リアウインドーはCピラーを覆う構造になっており、ボディパネルとのコントラストを生み出すことによって、背の高さを感じさせない伸びやかなスタイリングとしている。
- コントロールユニットは格納式であり、速度計などを配したセンターメーターもエンジンを切るとインパネに収納されるので、メカメカしさの少ない「くつろぎ」の空間を実現している。
- 燃料タンクを運転席下へ配置したことによって、平らで広い後席フロアを実現している。さらに、後席シートをアレンジすることで、後席スペースは第二のラゲッジスペースとして活用できる。
- クレジットカード大のカードから発信された電波を感知して、ドアのロック解除、乗車時のステアリングホイールおよびシート位置の調整などを自動的に行うスマートカードシステムを採用した。
- 走行レーン逸脱や進路変更の際、危険な状態になると警報を与えるなど、ドライバーの運転動作を補助するITSを搭載している。また、ナビゲーションのルート指示や道路料金自動収受システムの処理状況などを表示するドライビングディスプレイと、ナビゲーションのルートマップやインターネット画面を表示するマルチメディアディスプレイを搭載している。
3.技術展示
●デミオEV(財団法人 日本電動車両協会 電気自動車コーナーに出品)
「デミオEV(電気自動車)」は通勤や買い物に便利な、コミューターを開発コンセプトとしている。高効率な交流同期モーターを搭載するとともに、新たに開発したウルトラキャパシタとニッケル水素電池を組み合わせた、デュアル電源システムを採用し、コミューターとして充分な走行性能を実現している。
●燃料電池システム
燃料電池は、水素を燃料とし、酸素との化学反応によって電気エネルギーを発生する。今回出品する「燃料電池システム」では、高分子電解質膜の薄膜化と運転温度を低く制御することにより、燃料電池スタックの体積の約15%(当社比)を占めていた空気用加湿器が不要になり、自動車への搭載性を高めている。
● 直噴成層ガソリンエンジン
「直噴(直接噴射式)成層ガソリンエンジン」は総排気量1,991ccで、4気筒DOHC16バルブとした。リーンバーンエンジンに採用している筒内流動制御機構などにより、幅広い運転領域で安定した成層燃焼を実現し、実用走行域だけでなく高速走行域でも大幅に燃費を改善した。従来エンジンに比べ10・15モード燃費を30%以上改善するとともに、最高出力を10%向上させている。また、燃費の改善により、排出されるCO2も約30%低減している。さらに、大流量の排出ガス再循環(EGR)システムや、直噴用に進化させたリーンバーンエンジンの新三元触媒の採用によって、排出ガスの浄化性能を高めている。
●直噴ディーゼルターボエンジン
「直噴ディーゼルターボエンジン」は総排気量1,998ccで、4気筒16バルブとし、ターボチャージャーを装着している。燃費が良い直噴としながらエンジンを小型化するとともに、燃焼騒音やNOx排出量を大幅に低減させた。1気筒あたり4バルブのメカニズム、燃料噴射ノズルのシリンダー中心へのレイアウトや電子制御燃料噴射システムの採用によって、直噴本来の主燃焼期間における空気と燃料の高い圧力での燃焼を実現しながら、間接噴射式のように着火性を向上できた。最高出力は100ps/3,500rpm(目標値)、最大トルクは22.4kg-m/2,000rpm(目標値)である。同排気量エンジンと比べて、最高出力を22%、最大トルクを21%、60km/h定地燃費を約30%向上させている。
<主な出品物一覧>
(1)マツダコーナー
参考出品車(市販予定車)
- 新型マツダロードスター
- 新型カペラワゴン
- 新ボンゴフレンディ
- 新マツダMPV
コンセプトカー
- マツダMV−X
- マツダSW−X
- マツダMS−X
参考出品車
- プロシードキャブプラス(特別仕様車)
- ボンゴバン(特別仕様車)
市販車
- キャロル
- デミオ
- ファミリアセダン
- ファミリアハッチバック
- 新型カペラ
- ミレーニア
- 新センティア
- マツダRX−7
- 新タイタン
技術展示物
環境
安全
- 直噴成層ガソリンエンジン
- 直噴ディーゼルターボエンジン
- 燃料電池システム
- リサイクルへの取り組み
- ITS&マルチメディア
- 高剛性・安全ボディ「MAGMA」
- 頭部保護機能付きSRSサイドエアバッグシステム
(2)(財)日本電動車両協会 電気自動車コーナー
- デミオEV